岡崎団七踊り 5年ぶり披露へ練習大詰め

当日に向けて練習に汗を流す子どもたち
当日に向けて練習に汗を流す子どもたち

和歌山市岡崎地区に伝わる「岡崎団七踊り」が14日、5年ぶりに地区の西熊野神社である納涼おさらい会で披露される。踊りは、岡崎団七踊保存会が継承してきたが、コロナ禍で中止が続いていた。会長を引き継いでから初めての実施となるのを前に、小谷喜紀会長(73)は「4年の間が空き、踊りの感覚を取り戻すのに苦労します。『開催するのがやっと』という感じですが、今後に向けた大きな一歩になれば」と話している。

団七踊は江戸時代、代官の志賀団七に父親を殺された宮城野と信夫という姉妹が修行の末、あだ討ちを遂げる物語「碁太平記白石噺(ばなし)」を伝える踊り。参勤交代に随行した岡崎の郷士が観劇し、歌と踊りで村人に伝えたのが始まりとされる。全国に伝わり各地で継承されているが、同保存会によると、関西では岡崎地区のみではないかという。

岡崎団七踊りは1959年に県指定の無形民俗文化財となってから、ことしで65年を迎える。「さらし踊」「薙刀踊」「団七踊」の3部構成で、団七踊は3人一組となり、姉妹役がなぎなたや鎖鎌を、団七役が刀を持って踊る。「東西東西、コーリャコリャ団七ようく聞け…」などという芝居がかった口上の後、音頭取りの口説きと鉦(かね)、拍子木などの囃子に合わせて踊る。

ことしは保存会メンバーに加え岡崎小学校の児童15人と保護者らが参加。学校が夏休みに入った7月中旬から週に2、3度、同神社に集まって練習に励んでいる。いよいよ目前となった9日の夜にも子どもたちが小道具を手に輪になって踊り、それぞれの動作を確認した。

団七役で踊る岡崎小学校3年生の土井佑俐さん(9)は「合わせる曲は昔の感じで、踊りはちょっと難しい。当日は振り付けを間違えずに踊りたい」と笑顔だった。

岡崎地区で生まれ育ち、今は神前地区に住む宮田枝里子さん(31)は、祖母が他府県へ出向いて踊りを奉納、指導したほどだという。この日は娘の絃花(おとか)ちゃん(3)を連れて参加し「この地区の人たちに育ててもらったようなもの。子どもたちが、振りを身に付けたことを感じながらうれしそうに踊っているのを見ると、伝統ってすごいなと思います。これからもこの地域に伝わっていってほしいですね」と話していた。

「岡崎団七踊り」は午後7時半から、同市西の西熊野神社で行われる。