防災注意を終了 南海トラフ臨時情報1週間

県災害対策本部の廃止後、報道陣の取材に応じる岸本知事
県災害対策本部の廃止後、報道陣の取材に応じる岸本知事

日向灘を震源とする8日のマグニチュード(M)7・1の地震発生に伴い、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表されてから1週間が経過した15日、国は後発地震の発生に備えて行っていた「特別な注意の呼びかけ」を午後5時で終了した。これを受け和歌山県、和歌山市は、設置していた災害対策本部の廃止を決めた。

南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフの想定震源域やその周辺でM6・8以上の地震が発生した場合などに発表されるもの。8日の地震はプレート境界の一部がずれたことによると評価され、後発の大規模地震が想定震源域で発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっていることを示す「巨大地震注意」が発表された。

気象庁によると、8日の地震発生後、想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていない。

特別な注意の呼びかけが終了し、15日午後5時15分から県庁南別館で開かれた県の災害対策本部会議では、本部の廃止を決定。岸本周平知事は県民に対し、地震の備えの再確認などの呼びかけへの協力、防災意識を高めたことなどに感謝した上で、「依然として大規模地震が起きる可能性はなくなったわけではないので、防災意識を保ちつつ、引き続き地震の発生に注意し、命を守るための行動に取り組んでいただくようお願いする」とコメントした。

会議では注意を呼びかけた1週間の影響や取り組み状況などを報告。交通関係では、JR線で特急くろしお、特急南紀の計300本以上を運休し、御坊―新宮間で徐行運転をするなどした。

南紀白浜花火フェスタが中止となり、紀南地域4カ所の花火大会も延期。海水浴場は11カ所が閉鎖され、白良浜など4カ所は15日に再開した。宿泊関係では、白浜町や那智勝浦町など温泉地を中心にキャンセルが発生し、主に海沿いの観光地の飲食店でも来客数が減少するなどした。

和歌山市の災害対策本部会議では、尾花正啓市長が「各自治体の対応がまちまちだった。国もある程度の方針を出し、統一していかなければならない」との考えを述べた。