北方領土の現状学ぶ 県内中学生研修リポート①

北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」の前で研修に参加した中学生たち
北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」の前で研修に参加した中学生たち

北方領土問題を身近に捉えて理解と関心を深めるため、和歌山県内の中学生18人と教諭ら計25人が3~5日、北海道根室市で行われた研修に参加。地元中学生との交流や「北方領土返還要求根室市民大会」への参加、根室市長訪問などを通じ、改めて北方領土が「日本固有の領土」であることを学んだ。研修の様子などを本日から5回にわたって紹介する。

中学生の現地研修は、北方領土返還要求運動和歌山県民会議と、県北方領土問題教育者会議が毎年実施している。

22回目を迎えた今回は、独立行政法人北方領土問題対策協会から補助金を受け、御坊市立御坊中学校の3年生10人と、橋本市立紀見東中学校1年生8人が参加した。

地元中学生との交流会は、根室市穂香の北海道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)で開かれ、和歌山県と富山県の中学生、根室市内6校の代表生徒14人が加わり、計41人が6グループに分かれ、北方領土問題を若い世代にどう伝えればよいか、関心を持ってもらうにはどうすればよいかなどを話し合い発表した。

生徒らは、北方領土問題を知ってもらうため「夏休みの宿題に、北方領土問題の読書感想文や弁論を書いてもらう」、「北方領土のクイズ大会を開く」「映画をつくる」などと意見を出し合い「弁論や感想文なら北海道以外の人でも書きやすいのでは」「全国の人が参加しやすくなる活動ができれば」などと発表した。

また、勇留島で生活していた角鹿金太郎さんが残した句集『潮流』(1975年自費出版)から、島に関わる俳句「煮えきらぬ北方の話夜は長し」「想い出の島や流氷の果てに見ゆ」を詠み、角鹿さんがどんな思いで詠んだのかなどと感想を話し合った。

御坊中学校の前田一護さん(14)は、地元の中学生と交流し「関心度が高いと感じた。全国の人が関心を持つような活動ができればいいと思った。学んだことを県内外に広めていきたい」と話した。

同センターニホロ管理・四島交流主査、ニホロ業務主査の福田光夫さんは「俳句は記憶の結晶。先人がその時、何を思っていたのか考えてください。きょうの貴重な体験をこれからの人生に生かし、啓発に携わってもらえれば」と話した。