八巻さんとパパチカに 第30回キワニス賞
和歌山キワニスクラブ(西口伸会長)は、子どものための社会貢献活動に取り組む個人や団体を表彰する第30回キワニス賞に、外国籍の子どもたちに日本語指導や学習相談をする紀の川市の八巻由実子さん(69)と、親子のふれあいを目指して塗り絵を制作するボランティア団体「パパチカ」を選んだ。27日に和歌山市のホテルアバローム紀の国で表彰式を行い、西口会長が表彰状を手渡した。
八巻さんは和歌山市出身。夫の転勤で栃木県に住んだ時、塾講師をしながら、まちに住む日本語を話せない日系ブラジル人の子どもたちが、日本語を習得することで学校生活になじんでいく現状を知った。和歌山にUターン後、2014年に県国際交流センターで「わがっこ」を開設。外国籍の子どもらに日本語を教え、学習支援、異文化交流なども行っている。
八巻さんは活動報告の中で、コロナ禍に出会ったネパール人の中学生の話を紹介。愛知から和歌山に来て学習支援を始めたが、コロナ禍で親が失業し、突然愛知に移ることに。別れ際、八巻さんはぬいぐるみを贈り、しばらくメールのやり取りをしていたが、今は途絶えている。同様に家族の都合などで転々とする子どもは多いという。「私ができることはスズメの涙ほど。子どもらには日本語と母国語の間で自分らしさを見つけてほしい。大人になって『日本に来て、和歌山に来て良かった』と笑顔で話してもらえたら」と話した。
パパチカは「パパ」の「チカラ」で地域と子育てを盛り上げたいと、主に和歌山の名産品や観光地を紹介する「わかやまのぬりえ」を制作し、県内に配布している。額田康夫代表は、「『塗り絵の観光地を初めて知った』『孫と塗った』など反響はさまざま。家庭愛、地域愛を育むため、パパチカからジジチカになるまで頑張ります」と意気込んだ。