伝統の和太鼓 木本小児童が運動会で披露へ

宇治田さん指導の下で皆で演奏
宇治田さん指導の下で皆で演奏

19日に開かれる運動会を前に、和歌山市木ノ本の木本小学校(伊藤弘校長)の6年生95人は、本番さながらの通し練習をした。同校の和太鼓は30年ほどの歴史があり、運動会のトリを飾る演目。心を一つにして完璧な演奏を披露したいと児童らは練習に励んでいる。

児童らが取り組むのは「木本太鼓」という約6分の演目で、「桶(おけ)」「宮」「締(しめ)」「竹」など七つの楽器に分かれる。

練習は9月中旬に始まり、同市湊で「紀州郷土芸能黒潮躍虎太鼓保存会」を主宰する宇治田良一さん(74)が指導してきた。

30年ほど前、児童による問題が絶えなかった同校が、協同活動で児童らにまとまりをつくりたいと宇治田さんに指導を依頼し、毎年指導にあたってきた。始めた当時は、呼びかけても太鼓の練習に集まる児童は少なかったという。

演目には、楽器の単独演奏、同じリズムをたたきながら楽器の数が増えていく場面、4段階で徐々に音が強くなる「波」など、さまざまな見せ場がある。周りと合わせながら同じ速さでたたくのが難しい。宇治田さんは、たたき方や姿勢をアドバイスし、「失敗してもいいからゆっくりやろう」と激励した。

練習は体育館から楽器を移動させて運動場でも実施し、児童らは5回ほど演奏を重ねた。宇治田さんは「上手になったわ、ほんまに。運動会で感動を与えられるよ。心がこもってる」と総評した。

宮担当で3組の向谷虹輝さん(12)は「家でも洗面器を使って何度も練習した。みんなの心に響く演奏をしたい」、2組で桶担当の中谷怜未さん(12)は、「(太鼓は)かっこいいしやってみたかった。最高学年として完璧に近い演技を見せたい」と話した。

同1組担任の岩﨑直輝教諭(35)は「太鼓練習は、気が引き締まり普段と違う空気感がある。気配りや力を合わせることが大切で、この活動で視野を広げられる人に育ってほしい」と話した。