逆風で競り合う自維 衆院選1区終盤の動き
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衆院選は27日の投開票まで残りあと一日となった。和歌山1区は、日本維新の会前職の林佑美候補(43)と自民党新人で前和歌山市議の山本大地候補(33)の競り合いを軸に、立憲民主党新人でコンサルティング会社経営の村上賀厚候補(65)、参政党新人で食品販売店経営の林元将崇候補(26)、共産党新人で元和歌山市議の井本有一候補(58)、政治団体「心の党」新人で党代表の正司武候補(73)の計6人が支持拡大に奮闘している。各候補のこれまでの戦いを追った。
区割り変更により1区は、従来の和歌山市のみから、紀の川市、岩出市を加えた3市に広がった。自民にとって旧1区は、昨年4月の補選を含め、過去6回連続で野党に敗れている鬼門であり、今回は与野党どちらが議席を得るかが焦点となっている。
派閥の裏金問題で強い批判にさらされる自民に対し、維新の林候補は、政治資金パーティーは一度も行わず、献金も受け取ることなく政治活動をしていることを強く訴える。
一方、前兵庫県知事のパワハラ疑惑などにより、初当選時には吹いていた〝維新の追い風〟は今やない。有権者から厳しい声も受けるが、団地や住宅街を街宣し、出てきてくれる人と握手をして「元気をもらう」と林候補。「自民のような組織力はない。地道に一人ひとりの元へ伺うしかない」。
保守色が強い地域のため、支持の広がりは見えにくいが、熱心な支援者は「自民に遠慮して表立って支援できない人の中にも、隠れ支持者はいる」と話す。
後半には吉村洋文共同代表ら党幹部の応援も受け、勢いをつけて終盤を戦う。
自民にとって県都を含む1区の議席獲得は悲願だが、裏金問題の影響で候補者選定はやり直しとなり、公募で山本候補が決まったのは8月26日。投票日まで約2カ月の短い戦いのため、知名度アップが鍵となる。企業の朝礼・夕礼でのあいさつ、小規模の集会や個人演説会などを重ね、党の組織力を生かして支持固めを進めてきた。
新たに選挙区となった紀の川市、岩出市は、自民系が県議を独占する地域。陣営は「2市で差をつけ、和歌山市で勝負したい」と話す。
山本候補が強調するのは、自身の若さと情熱、ふるさとへの思い。県内選挙区が3から2に減り、地元の声が国に届きにくくなることに危機感をにじませ、「和歌山のために働く政権与党の議員が必要だ」と訴える。
野党第一党の立民は、1区で初めて独自候補の村上氏を擁立。村上候補は、外資系企業で人事やマネジメントの仕事をしてきた経験を生かし、「人に投資し、一般の人から豊かさを実感できる社会にしなければならない」と訴える。
自民は一部の企業や団体の利権に絡めとられ、政治がゆがめられているとし、政権批判の受け皿を目指すが、野党の候補者調整が行われなかった影響で、反自民票の分散は避けられず、反維新や無党派層の獲得にも力を入れている。
参政の林元候補は6人の中で最年少の26歳。陣営は「若さに驚き、期待してくれる有権者の反応は多い」と話す。国民の政治参加を強く促しており、特に投票率の低い若者世代の支持獲得に向け、街頭演説の生配信など、ネット活用にも力を入れている。
共産は、党機関紙が自民の裏金問題をスクープしており、自民政治と最も厳しく対峙(たいじ)する存在は共産と強くアピール。井本候補は「国民の生命と暮らしを脅かす政治を転換しなければならない」と自公政権を厳しく批判し、党勢拡大を訴えている。
正司候補は、街頭活動をせず、ポスターや選挙公報も作っておらず、ネットやメールなどを活用して支持を訴える戦いを続けている。