傘寿記念し絵画展 和歌山市の岡﨑ゆみこさん

線や円を描いた作品の前で岡﨑さん
線や円を描いた作品の前で岡﨑さん

和歌山市の岡﨑ゆみこさん(79)の傘寿を記念した絵画展が28日まで、同市小松原通の県民文化会館大・中展示室で開かれている。

50年にわたって美術教員を務める傍ら創作活動を続け、現代美術をけん引してきた岡﨑さんが1985年から2024年までに制作した小品から200号まで約80点を展示。「一人ではとても描き続けられなかった。家族や仲間、多くの人に支えられてきたことへの感謝を伝えられれば」と笑顔で話している。

岡﨑さんは市内の小中学校、和歌山市高、和歌山信愛女子短期大学で美術教員として造形教育に携わってきた。また、「常に自分の描くものに驚かされたい」との思いで、人のまねでなく自分にしかできない表現を追求。国内外で個展やグループ展を重ねてきた。

岡﨑さんの代名詞ともいえる「ぐるぐる」の抽象表現は「落書きのような感覚で、気持ちよく描いたもの」という。

会場には、桐蔭高校生だった18歳の頃、美術室から見た街並みを描いた油彩画をはじめ、線や円の反復によるエネルギーに満ちた作品が並ぶ。油彩画の大作は熊手や長ねじを使い、絵の具が乾かぬうちに削って動きのある線を描写。青や白のアクリル絵の具をチューブから直接キャンバスに塗り、何度も厚く重ねた近作などを紹介している。

線には、その時々の自分が表れるという。動く手に任せて、自由に「ぐるぐる」を重ね、さまざまな表情の線を画面いっぱいに表現。「絵は考えて描かない。手から自然とキャンバスに出てくるもの。絵の神様が降りてきて、気持ちよく描かせてくれる」と岡﨑さん。「線一本でもアートになる。現代美術は楽しく、身近なものであることが伝わればうれしい。これからも生活の一部として、気楽に描いていきたいですね」と話している。

午前10時から午後5時(最終日は2時)まで。