和歌の聖地で時代絵巻 行列に町田啓太さんも

豪華絢爛な衣装で練り歩く
豪華絢爛な衣装で練り歩く

「和歌の聖地・和歌の浦誕生千三百年記念大祭」のメインイベントとなる聖武天皇行幸時代絵巻行列が27日、和歌山市の和歌浦周辺で行われ、約300人が時代衣装で練り歩き、沿道は約2万人でにぎわった。特別ゲストとしてNHK大河ドラマ「光る君へ」で藤原公任(きんとう)を演じる俳優の町田啓太さんが役柄の衣装で登場すると、大きな歓声に包まれた。

藤原公任に扮した町田啓太さん
藤原公任に扮した町田啓太さん

今から1300年前の神亀元年(724)10月、即位間もない聖武天皇が玉津島(和歌の浦)に行幸。美しい景色に感動し、末永くこの地を大切に保存するよう詔(みことのり)を出した。この時、随行した歌人の山部赤人が詠んだ「若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る」の名歌に端を発して、和歌の浦が歌人憧れの地として知られるようになった。

歴史を再現し、和歌に詠みたくなるような美しい景観を未来につなげたいと、地元の有志や大学の研究者らで実行委員会を発足し、準備を進めてきた。

この日行われた聖武天皇行幸時代絵巻行列では、奈良の平城京から玉津島へと向かった聖武天皇と万葉歌人たちの行幸を再現。また平安から江戸時代の歴史的人物に扮(ふん)した約300人が豪華絢爛(けんらん)な衣装で、あしべ橋から片男波・野外ステージまで約1㌔を優雅に歩いた。

平安時代を代表する歌人・藤原公任の衣装で町田さんが登場すると「公任がテレビから飛び出した!」、「かっこいい!」と沿道から大きな歓声が上がり、観客はその姿を写真に収めたり、手を振ったりしていた。

開会式で中山勝裕実行委員長は「日本の歴史に残る有名な人たちが和歌を通じて和歌の浦に憧れ、大切にしてきたことは和歌山市民の誇りだと思う。きょうを始まりとして、新たな100年に向け、若い世代と共に和歌の浦の歴史と文化を守り発展させていきたい」とあいさつ。

玉津島神社の遠北光彦宮司は「聖武天皇の玉津島行幸から200年後、和歌の浦に来た藤原公任がその景色に感動し、京都で広めたことがきっかけで全国的に広まった。公任は今でいう観光大使の重要な役割を果たしてくれた」と笑顔。

町田さんは「今回来て和歌の浦は景観が素晴らしく、歌を詠みたくなる先人たちの気持ちが少し分かった気がする」と話した。

町田さんはドラマの衣装を着て外に出るのは初めてといい、「今回、役につながる和歌の浦に来られてとてもうれしい。『光る君へ』の最終回が近づいています。最後まで楽しんでいただけると思うので、ぜひ期待してください」と笑顔で呼びかけた。