プロが撮る「記憶の記録」 WPS写真展
和歌山を拠点に活動するプロのカメラマンでつくる「WPS」(WAKAYAMA PHOTOGRAPHERS SOCIETY)による写真展が5日まで、和歌山市吹上の小松原アートスペースで開かれている。
出品者は尾畑敬さん、樫本宜和さん、児玉定男さん、松原時夫さん、三浦誠夫さんの5人。写真が持つ記録性を強く感じさせるようなモノクロやカラー作品約20点が並ぶ。
尾畑さんは青い空が印象的な山並みや海辺の風景、児玉さんは奈良県五條市にある賀名生(あのう)で咲き誇る梅を撮影。本紙金曜日付連載「そらそうと」で写真を担当する樫本さんは、和歌浦東にある五百羅漢寺の迫力ある羅漢像の姿や表情を写し、三浦さんは「ある日の記憶」として、人物や日常の一こまを切り撮っている。
松原さん(84)の「刻の記録」は、和歌浦中の雲蓋院(うんがいいん)の石仏を撮影。1959年に撮影したものと、その40年後、風化により首から上の部分が落ちてしまった石仏を並べて紹介している。
安らかな表情が気に入り、何百枚も残していたという松原さんは「撮影当時は、こうなることを想像していなかった。見つけた時はショックだった」と話す。本紙で樫本さんと共同連載する同市のグラフィックデザイナー、井口博文さん(61)も来場し、松原さんの作品に「自然体の写真を見ているといっぱい言葉が浮かんでくる。今の混沌とした世の中を憂い『わしの手に負えやん』と落ちたようにも思えますね」と話していた。
正午から午後5時まで。問い合わせは同ギャラリーの池田さん(℡090・4560・9028)。