海南文化奨励賞に岩本さん 現代的な陶芸評価
和歌山県海南市の2024年文化表彰受賞者が発表され、文化奨励賞に下津町出身の陶芸家、岩本幾久子さん(53)が選ばれた。同表彰は文化賞、文化奨励賞、文化功労賞の3部門があり、1979年から行われている。文化奨励賞は、優れた文化の創造や普及活動を続け、市民の文化向上に寄与した人に贈られる。
岩本さんはイギリス・ロンドンに在住。帝塚山短期大学工芸美術史コースと専攻科で陶芸を学び、卒業後は恩師の故・坪井明日香氏に師事。2001年に渡英、カンバーウェル芸術大学陶芸専攻を卒業、英国王立芸術大学院セラミック&ガラス科を修了し以降、ロンドンを拠点に陶芸家として活動。1993年に女流陶芸新人賞、95年に女流陶芸文部大臣奨励賞、2019年にヤングマスターズ陶芸賞など、数多くの賞を受ける。
近年は、視覚障害のある人にも楽しんでもらいたいと、トゲやドットなど触感が特徴的な作品や古道具を再利用したアンティーク作品などを制作する他、海南市内の各学校で講演やワークショップなどを行い、芸術文化の振興に貢献している。
1日、市役所で表彰式が行われ、神出政巳市長が岩本さんに表彰状を手渡し「下津町での個展や母校での講演や陶芸指導など、地域文化の振興や発展に貢献いただき、心より賛辞を贈りたい」とあいさつした。岩本さんは「昨年の下津での地元個展開催は、奇跡的でうれしかった。陶芸と結婚式を挙げた気分だった。これからも真摯(しんし)に制作を続けたい」と喜んだ。