フレッシュな味わい 中野BCで新酒の仕上げ
和歌山県海南市藤白の酒造会社中野BC㈱(中野幸治社長)で8日、梅酒の新酒「梅酒ヌーボー」の蔵出しと、新米を使った純米酒「超久」の生原酒初搾りが行われた。
梅酒ヌーボーは、ことし6月6日に漬け込んだ紀州南高梅をタンク内で熟成させる前に、取り出して瓶詰めしたもので、この時期でしか味わえない梅酒。フランス産ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」のように、梅の果実本来の新鮮な味わいが強く、フレッシュな風味が楽しめる。
この日、梅酒の原酒を別タンクに移した後、約22万粒が入ったタンクから梅酒杜氏(とうじ)の藤原弘彰さん(48)を含む9人の職人が専用棒を使い、梅の実を傷つけないようかき出す作業を行い、原酒をフラスコに注ぎ、味や香り、色合いなどを確かめた。
藤原杜氏は「ことしの夏は暑くて長く、梅の抽出が進んだ。香りや酸味が引き出され、雑味のない梅の風味が引き立つ仕上がり。チーズ料理やシイタケなどによく合います。まずはストレートで楽しんでもらえたら」と話した。
ヌーボーは、22日に解禁。720㍉㍑や1升瓶などで販売される。
純米酒「超久」の生原酒初搾りでは、武田博文杜氏(54)が、気温4度に保たれた蔵で、もろみを搾った生原酒をタンクからすくい、香りを確認した。
同酒は、先月15日に、五百万石の酒米を手仕込みした、純米酒「超久」の加水や熱処理をしていない商品。
生原酒ならではのフルーティーでフレッシュな香りが特長。武田杜氏は「ことしの夏は気温が高く、米が硬くて解けにくい傾向だった。だけど米が割れた分、解けてくれたため、すっきりとした仕上がりになった。口の中で広がる香りを楽しんでもらえたら」と話した。
生原酒は20日に一升瓶で約4000本を発売する。どちらも、同酒造内売店や、ネット通販、全国の小売店などで購入できる。