防災などテーマに熱論 向陽高でディベート大会

肯定派、否定派に分かれて意見を主張する生徒ら
肯定派、否定派に分かれて意見を主張する生徒ら

文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている和歌山市太田の向陽高校(松本泰幸校長)で11日、ディベート(討論)大会が開かれた。まちの防災力強化に空き家問題を盛り込んだテーマなどで、3年生が肯定派と否定派の各7人のチームに分かれて白熱した議論を展開した。

情報収集や分析から、言語表現力、資料批判力、科学コミュニケーション力などを養うために開かれている。

大会には同高3年の環境科学科の生徒約80人が参加。同高2年生、同中学校3年生も聴講し、審判として勝敗を判定する形式で行われた。

「まちの防災機能向上のため、住宅密集地域における修繕見込みのない古い家屋は壊すべきである。是か非か」という討論では、両チームが過去に日本で起こった地震の被害データを紹介しながら、設けられた制限時間内で意見を発表した。

肯定派は能登半島地震の被害を踏まえ、「石川県では判明した死因の8割が家屋倒壊。道をふさいだり火災の原因になったりするので古い家屋は取り壊すべき」と主張した。

その後「取り壊しに関する国・自治体からの補助金や税金」と「防犯面」といった切り口で論議を展開。否定派からは「固定資産税の減額措置があるが、取り壊すと税額が見直され負担が増える。取り壊しに補助金が出ても結局は税金。全体の負担でいうと変わらないのでは?」などの意見が出た。

肯定派として討論した3年の市川志穏さん(17)は、「何回も練習して挑んだが、相手の立論も説得力があり、苦戦した。負けてしまったが、相手から知らないデータが獲得できて新しい学びができた」と笑顔。審判役の3年の新谷翔汰さん(18)は「肯定、否定のお互いの掛け合いが面白かった。自分たちと違う視点が聞けて参考になった」と話した。

SSH推進部長の谷地祐介教諭(35)は、「3年生は受験勉強もある中で準備段階から頑張っていた。審判役の2年生は来年、討論側に立つので先輩から良い刺激を受けたと思う」と話した。

全てのチームが論題について肯定と否定の両方の意見を用意しており、他にも「人工知能の開発と普及を積極的に行うべきである。是か非か」のテーマでも議論された。