行方不明者を捜索 和市と災害救助犬が訓練

嗅覚で人を捜索する災害救助犬
嗅覚で人を捜索する災害救助犬

災害発生時、迅速に行方不明者を捜索し命を救おうと、和歌山市は5日、加太の県消防学校でNPO法人災害救助犬ネットワーク(東京都、津田光理事長)と初の連携訓練を行った。

同NPOは「救えるはずの命を救うために」を掲げ、行方不明者を捜索する手段として日本ではまだ認知度が低く、頭数や訓練も不十分な災害救助犬の体制整備に向けて活動する団体。東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、能登半島地震などの被災地で実際に捜索活動に取り組んでいる。

市と同NPOはことし8月に協定を締結。南海トラフ地震をはじめ大規模災害が発生した場合、市の要請に基づき全国各地の拠点から災害救助犬を派遣する。

この日の訓練は協定に基づき実施。消防局警防課、中消防署高度救助隊、指揮調査隊、市危機管理局総合防災課14人と、災害救助犬エルク(3)とアンリ(6)、犬に指示を出すハンドラー6人が参加。

訓練は、震度6強の地震により土砂埋没や倒壊が発生したとの想定で実施。災害発生から3時間経過し、土砂で埋まった建物や車に向かって隊員らが呼びかけるが反応なはく、災害救助犬を要請する手順で行われた。

2頭は鋭い嗅覚で行方不明者を捜索。建物の中や、車の中にいる人を素早く見つけ、吠えて知らせた。

その後、救助隊員が小型カメラで建物内部の状況を確認し、救助した。

災害救助犬は1カ所だけ穴を開けた箱から、においを見つける訓練を日々行っているという。

津田理事長(68)は「訓練に終わりはない。継続していると必ず成長する。活用の意志がある現場に惜しみなく資源を投入したい」とし、市消防局中消防署の加森寿典消防司令補(37)は「人間にはない犬の鋭い嗅覚は捜索に効果的だと感じた。訓練を重ねて連携を深めたい」と話していた。