カイロス打ち上げ延期 上空の強風で判断

見学者でごった返す田原海水浴場のブース前
見学者でごった返す田原海水浴場のブース前

宇宙事業会社スペースワン㈱(東京都)は14日、和歌山県串本町で午前11時に予定していた小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げを、直前に急きょ延期。同社の阿部耕三執行役員は、射場上空10㌔以上の高層の風が強かったためと発表した。初号機が発射直後に自爆した3月13日の衝撃から9カ月、近隣2カ所の公式見学場をはじめ、各地で多くの人々が再挑戦の瞬間を見守ったが、宇宙事業の新時代を告げる瞬間は、またも持ち越しとなった。

射場のスペースポート紀伊では14日、天候判断、機器・設備の起動、安全確認と順に打ち上げ準備が進められ、午前9時半時点の同社の判断では打ち上げ実施としていたが、10時半ごろに延期が発表された。

3月に続き、射場から東西に約2㌔、田原海水浴場(串本町)と旧浦神小学校(那智勝浦町)の2カ所には公式見学場が設けられ、県内外から約5000人が集まった。

田原海水浴場では、砂浜近くの芝生に大型モニターが設置され、ロケット関連グッズや地元グルメなどを販売する出店には長い行列ができ、打ち上げ予定時間が近づくほど熱気とにぎわいは増していたが、打ち上げ延期が会場にアナウンスされると、落胆の声が広がった。

同社は27日までを打ち上げの予備期間とし、それまでに改めて2号機の打ち上げ日程が設定される見通し。

同海水浴場で報道陣の取材に応じた田嶋勝正町長は「きょうは最高の天気で、必ず打ち上がると思っていたが、上空に強風が吹いており、自然のことなので仕方がない。遠くから足を運んでいただいた方には申し訳ない」と話し、「ロケットを地域の発展の軸として頑張っていきたい。次も多くの方々に来ていただけると信じて、お迎えしたい」と早期の打ち上げに期待を示した。

3月の初号機に続いて見学に訪れた上富田町の自営業、小林麻美さん(39)は「今度こそはという気持ちで楽しみに見に来たが、本当に残念。ロケットはこういうものなのかなと思う。次も調整して見に来たい」と話していた。