一念通天の精神で地域のために

新年おめでとうございます。乙巳(きのと・み)の年頭を迎え、読者の皆さまに謹んでごあいさつ申し上げます。

乙は陰陽五行説では木の陰とされ、植物が柔軟に成長する象徴とし、巳は脱皮することから復活や再生を意味します。これまで努力してきたことが実を結び、新たな挑戦や変化に追い風が吹く一年になることを祈念申し上げます。

昨年は、串本町で日本初となる民間ロケット発射場からカイロス2号機が打ち上げられました。宇宙にこそ到達しませんでしたが、本県にとって大きな夢を乗せた希望の光です。本年の成功を期待します。

また、弊社においては津村尚志会長が鬼籍に入りました。「地域をよくするのは我々地方紙の役割だ」と信念を貫き通した生き様でした。目まぐるしく変わるこの情報社会の中で、弊社の礎を築いてくれました。従業員一同、その遺志を継いで役割を果たしていく所存です。

さて、本年は4月から大阪・関西万博が始まります。来場者数2800万人と想定されていますので、その1%でも開催地の隣県である和歌山に足を運んでいただけたらと願います。そのためにも地方紙として機運を高める情報発信に努めてまいります。

本年の掲げるスローガンは「一念通天」です。どんな難解なことでもたゆまず一心に努力をすれば必ず成就するという熟語です。努力しても報われないことがあるといわれますが、私はそうだとは思いません。目標達成のために心身を労して積み重ねていくことから見えてくる、足りない面をどう補うかを考える。さらなる努力は自信につながり、その努力は裏切ることはありません。才能を生むことにもつながります。

達成するまでやり続けることは、精神力や体力が持たないこともあるかもしれませんが、「思うは招く」の精神で今まで培ってきた情報量と技術を生かし、新たな取り組みをします。

その取り組みは、昨年、両省県民の交流に資する情報発信で協力をする覚書に調印した山東省の大衆報業集団グループへのニュース発信の強化です。グループのメディア総ユーザー数は4億6000万人を超える巨大なメディアです。そこに和歌山の魅力を発信することができれば、大きな影響を生み出します。簡単にはいかないかもしれませんが、一念通天の精神で挑戦したいと思います。

オールドメディアといわれる新聞業界ですが、わかやま新報は、地域のために役に立つメディアとして新しいことに挑戦してまいります。より一層のご支援、ご愛読をお願いするとともに、皆さまのご多幸を祈念申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

㈱和歌山新報社代表取締役社長 津村 周