過去最大の1604億円 和歌山市25年度予算案

和歌山市は12日、2025年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比6・8%増の1603億9528万4000円で過去最大の規模となったが、収支不足はなく、26年ぶりに3年連続の収支均衡を実現した。尾花正啓市長は「民間と連携、共創しながら地域の発展を目指しつつ、福祉の充実を図る『成長と福祉の好循環を形成する予算』とした」と話した。予算案は19日開会の2月定例市議会に提案される。

一般会計歳入

国庫支出金の増加などにより、依存財源の比率が55・9%(前年度54・4%)に増加し、自主財源の構成比は44・1%(同45・6%)にやや低下した。

自主財源のうち市税は、定額減税の終了などで個人市民税が27億4000万円の増加、法人市民税も6億2000万円の増加を見込み、全体で5・5%増の606億8000万円となっている。

その他の自主財源は、消防指令システム構築に関する受託収入の7億9000万円減などがあり、8・3%減の100億7000万円。

依存財源は、国庫支出金が20・3%の大幅増の387億1000万円で、児童手当の給付費等負担金や物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金などの増額が要因。県支出金も、小学校給食費無償化の補助などで11・9%増え、128億5000万円となっている。

地方交付税は6・2%増の186億円で、償還が同税で措置される臨時財政対策債は今回、計上されていない。借金に当たる市債発行額は、水道会計出資金や廃棄物処理施設改修費の増加などにより、18・2%増の68億3000万円。

収支不足の際に使用する財政調整基金の取り崩しはなく、25年度末の残高は177億4000万円を見込む。

尾花市長は、福祉関連予算の増大などにより歳出が増えている一方、「民間との連携、共創でいろんな資金も入り、国の効率的な予算も活用していることで、均衡の予算がつくれた」と話した。

一般会計歳出

義務的経費は8・4%増の1006億8000万円で、構成比は62・8%(前年度61・8%)。うち人件費は1・6%増の256億1000万円。扶助費は、児童手当と児童扶養手当の拡充、障害者福祉サービスの給付金や保育施設への給付金の増加、定額減税補足給付金などにより13・3%増の571億1000万円。市債の返済などに充てる公債費は、借り換えによる一括償還分の増加などの影響で3・7%増の179億6000万円となっている。

投資的経費は1・6%減の74億8000万円。廃棄物処理施設改修費や中消防署宮前出張所の建設などで増額があったものの、消防指令システム構築の完了による14億7000万円の減額の影響で、全体として減少している。

その他の経費は5・1%増の522億4000万円。主な増額は、プレミアム付き商品券発行に5億7000万円増、小中学校給食費に2億円増、省エネ家電買い替え促進事業に1億円増など。

目的別に見ると、教育費は2・2%減の101億7000万円だが、国の補正予算を生かし、中学校給食センターや体育館空調の整備費などの予算計上を24年度に前倒ししたためで、前倒し分を含めた実質的な教育費は21・4%の大幅増となっている。

特別会計・公営企業会計

特別会計は、国民健康保険事業や介護保険事業、卸売市場事業など11会計合わせて0・5%増の965億8568万円。公営企業会計は1・8%増の422億4457万1000円。一般会計と特別会計、公営企業会計を含めた予算総額は4・0%増の2992億2553万5000円となった。

新年度当初予算案を説明する尾花市長
新年度当初予算案を説明する尾花市長