政権交代へ攻勢 立憲・野田代表に聞く
立憲民主党代表の野田佳彦元首相(67)は9日、今夏の参院選和歌山選挙区の候補者発表などのため和歌山市を訪れ、わかやま新報などのインタビューに答えた。政権交代で目指すこと、政治資金問題や新年度政府予算案を巡る国会での論戦、選挙制度改革などについて聞いた。
――県内で立憲民主の国会議席獲得のために何が必要か。
立憲では取っていないが、源流である民主党は、2009年の衆院選では三つ取ったこともある。可能性は元々ある選挙区だ。今回の参院選も自民党が割れる可能性があり、勝機ありと見ている。
――県内の党勢をどう見ているか。
もっと頑張らないといけない。地方議員の数をしっかり増やすこと。増えれば党の力が拡大する。一方で地方議員の擁立につながるのは、党の存在感を示す国政選挙であり、連動する好循環にもっていきたい。
――石破茂首相の政権の評価は。
米トランプ第2次政権が、大統領選挙で言ったことを次々と電光石火で実行してくるのに比べ、石破さんは総裁選挙で言ったことをなかなか実行しない。本来の持ち味の筋論をしっかり展開してもらった方がいい。
――先日の日米首脳会談の評価は。
尖閣諸島に日米安保条約の適用を確認したこと、USスチールの問題で、買収に反対のトランプ大統領が投資に理解を示したことなど、一定の成果はあったと思う。関税政策に対する突っ込んだ議論はあったのかなどは、検証しなければいけない。
――なぜ政権交代を目指すのか、実現すれば一番実行したいことは何か。
政権交代は、お金の使い方を変えること。民主党政権の時代、高校授業料無償化や子ども手当は、当時の野党である自民、公明からバラマキと批判されたが、今はどの政党も教育の無償化を言うようになった。お金の使い方が変わり、それが正しかったということになれば、政権交代の意味がある。こういうものをもう一回、再現したい。
――新年度予算案を省庁ごとに質疑する「省庁別審査」の狙いと意義は。
今までの分科会では、地元の話をし、役所に予算付けを頼むような形が多かった。そうではなく、予算自体が正しいかどうか、無駄があるかないかを省庁別に審査した方が予算委員会らしいという、原点に立ち戻った改革だ。出てきた無駄なお金は、われわれが要求している政策実現に生かし、予算修正につなげたい。
――減税について立憲民主は慎重な姿勢ではないか。
そうではない。政策減税については柔軟だ。そういうイメージを作られるのはつらい。ガソリン税の暫定税率廃止などを現に言っている。
――消費税の減税についてはどうか。
基幹税については丁寧に議論していこうということ。消費税は社会保障に位置づけられており、それを下げると社会保障に穴が開く。コストをどうするかの議論はちゃんとしないといけない。消費税について逆進性対策は必要だ。給付付き税額控除を行う考えを持っている。
――企業・団体献金の禁止をどのように進めるのか。
年度内に結論を得ることは昨年確認した。われわれは30年前に廃止の方向を与野党で確認していると思っている。自民は透明化すると言う。透明化は全く否定しないし、個人献金だろうが透明化すべきと思うが、透明化ということはもらい続けるということで、禁止する方向とは概念が違う。30年来の宿題に向き合ってもらいたい。
――和歌山は人口減で国会の議席配分が減り、合区の可能性もある。課題をどう考えるか。
合区の問題は感じている。例えば高知と徳島。高知から候補者が出ると徳島の投票率が下がり、逆もある。民主主義の根幹に関わることなので、合区はなくす方向性だと思うが、そのためにどうするかは参議院で議論されている。どう知恵を出せるか、推移を見ていきたい。
――現行の選挙制度に対する考えは。
選挙制度には一長一短がある。微調整は常にしていかなければいけない。例えばSNSを活用した選挙。大いに活用して投票率が上がること自体はいいが、間違った情報で民意が作られ、投票行動につながることがいいのか。お金もうけのために選挙に関わる人も出てきているなどの弊害をどう取り除いていくかは、真剣に考えなければいけない。