初の歴史小説『戦え左近』 太田甲子太郎さん

自作のタイトル画を手に太田さん
自作のタイトル画を手に太田さん

和歌山市中之島の作家、太田甲子太郎(かしたろう)さん(76)が、自身初めての歴史小説『戦え左近』を書き上げ、本紙での連載がきょうから始まる。風雲急を告げる戦国時代末期、天下統一を目指す羽柴秀吉による紀伊の太田城水攻めを題材に、太田左近とその仲間たちの戦いと活躍を描く。

太田さんはこれまでに、県内の民話・説話を収集した『紀州に伝わる民話』シリーズ、2016年に本紙に連載した小説『「6」からの誕生日プレゼントは生命(いのち)』、絵本『クマのろくた』などを発表してきた。

先祖からの言い伝えによると、自身の家系は太田村に代々暮らし、秀吉と戦った太田一党の末裔。30代から郷土史家に学び、ふるさとで繰り広げられた太田城の戦いには長く関心を抱いており、今回の作品には「先祖のことを書き残したいという使命感で挑戦した」と話す。

秀吉に最後まで抵抗した一党のリーダー、太田左近を、虚実を織り交ぜて若き日の姿から描き出す今作。太田城での決戦を、もしも左近が生き延びていたとしたら…。太田さんの想像力が生み出す痛快な物語が展開されていく。

太田さんは「地元の歴史が題材であり、地域貢献の一助にもなれば幸い。小説は読者に読んでもらわないと完成しない。感想を寄せていただけたらうれしい」と話している。

『戦え左近』は今後、毎月第2・4水曜の「文化・芸術」面に掲載する。次回は26日付。