管理不全空家を認定へ 和歌山市が基準策定

空き家対策の推進について話す尾花市長
空き家対策の推進について話す尾花市長

和歌山市は27日、空家等対策特別措置法の改正によって規定された「管理不全空家等」の判定基準を策定し、4月1日から認定を始めると発表した。新たに行政の指導・勧告の対象となる区分が広がることで、増加する空き家に関する対策を強化する。

空き家の状況の判定には、倒壊等著しく保安上危険となる恐れがある▽衛生上有害となる恐れがある▽著しく景観を損なっている▽その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが著しく不適切である――の四つの視点が同法で示されている。

法改正前は、不良度が非常に高い「特定空家等」に認定すると、行政の指導・勧告などの対象となっていたが、特定空家等に次ぐ不良度を示す段階として「管理不全空家等(勧告相当)」「同(指導相当)」が増えた。

管理不全空家等以上に認定され、行政の勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が除外されるため、所有者に早期の対応を促すことにもつながると期待されている。

老朽化などで周囲に迷惑となっている空き家について市に寄せられる通報は増加傾向にあり、2024年度は約450件に上る。市はこれまでに特定空家等を6件認定しており、今回策定した判定基準により、早期に管理不全空家等に認定できる建物は10件程度とみている。

総務省による23年度住宅・土地統計調査では、市内の空き家は3万8800戸、率で19・9%となっているが、抽出調査であり、賃貸の空き物件を半数程度含み、住宅以外の空き家は対象外であることなどから、近年の実態を示すデータはないのが実情。市は、通報がある空き家のうち10~15%程度が管理不全空家等の認定対象となると見込んでおり、4月から市職員による現地調査を進める。

また、空き家の通報をインターネット上のフォームで24時間受け付けるシステムの運用も、4月から開始する。

尾花正啓市長は27日の定例記者会見で、「空き家のご近所で困っている方が非常に多いと思うので、今後は特定空家等だけでなく、管理不全空家等についても行政指導をしっかりしていきたい」と話した。