智弁が7年ぶり4強 きょう浦和実業と対戦

第97回選抜高校野球大会は26日、阪神甲子園球場で準々決勝が行われ、智弁和歌山が広島商(広島)を7―0で下し、準優勝した2018年以来、7年ぶりの4強入り。センバツ通算30勝目を達成した。試合はその節目を飾るのにふさわしい攻守で圧倒する快勝劇だった。準決勝は28日にあり、第2試合で浦和実業(埼玉)と対戦する。
【準々決勝】広島商 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
智弁和歌山 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | × | 7 |
〔広〕大宗―片岡〔智〕渡邉、宮口―山田▽三塁打=山下(智)▽二塁打=大谷、荒井、山田(智)
試合開始早々、智弁和歌山打線が牙をむいた。初回1死一塁、山下晃平が左翼フェンスを直撃する適時三塁打で先制点。さらに福元聖矢が力強いスイングで右前へ運んで2点目を奪取。初回から流れを引き寄せた。
勢いそのままに序盤から畳みかけた。2回1死一、三塁で黒川梨大郎がスリーバントスクイズを決めて追加点。さらに2死二、三塁で奥雄大が右前打を放って2者が生還し、5―0とリードを広げた。
8回には、荒井優聖と山田凜虎の連続適時二塁打で2点を加え、突き放した。
先発エースの渡邉颯人は抜群の制球力と巧みな緩急を使い、8回4安打無失点の好投。9回には最速152㌔を誇る宮口龍斗がマウンドへ。落ち着いた投球で相手打線を仕留め、最後まで得点を許さなかった。
「目の前のバッターを一人ひとり抑えて、チームを勝たせることだけを考えて投げた」と渡邉。中谷仁監督は「期待以上というか、バッテリーを中心に守りのチームだと思っているので、いいゲームの入りをつくってくれた」とエースの投球をたたえた。
2回戦後、中谷監督が「爆発を待っている」と期待を込めた4番・福元はこの試合2安打。福元は「まだまだ爆発できていない。次の試合は『ここで打ってくれ』というところで打つ」と気合十分。「プレーを見た子どもたちが『こんな選手になりたい』と思うプレーをしたい」と意気込んだ。
中谷監督は福元について「智弁和歌山の4番のプレッシャーは立った人にしか分からないくらい重い。これを背負ったままガンガン結果を出してくれることを期待して待っている」と話し、「長く長くどんな世界でも勝負できる能力がある」と評価した。
「ファミリー」で勝ち進む 山田希翔主将が意気込み
中谷仁監督が「キャプテンの仕事をしっかりやってくれている」と話す山田希翔主将は、昨夏の甲子園を経験した選手の一人だ。しかし、昨秋の近畿大会で肩を負傷し、今大会2回戦までは出場を見送り、三塁コーチとしてチームを支えた。
その主将が準々決勝の最終回、一塁守備についた瞬間、智弁和歌山のスタンドからは、その日一番とも感じるほどの大きな歓声が上がった。
中谷監督は「学校のみんなは、山田がキャプテンとして野球部をまとめている姿を見ているし、けがをしたことも知っている。あれは智弁和歌山ファミリーの歓声だった」と感慨深げに語った。
「自分はガッと引っ張るタイプではなく、寄り添って意見を聞くタイプ」と山田主将。そして、主将として甲子園優勝経験を持つ中谷監督への信頼も厚く、「中谷監督やスタッフの考えを選手たちに伝える」ことを常に意識してきた。「選手全員がしっかりと一つひとつの徹底力を心がけて、『智弁和歌山ファミリー』のみんなで勝ち進みたい」と優勝を見据えた。