日常で使える根来塗 松江さんが作品展

作品を手に笑顔の松江さん
作品を手に笑顔の松江さん

根来寺根来塗の室町時代の技法を復興した和歌山県岩出市の池ノ上辰山(しんざん)さんの直弟子、松江那津子さん(43)の作品展が6日まで、和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階画廊で開かれている。

辰山さんには15人の直弟子がおり、松江さんは一番弟子。海南市出身で約10年前に辰山さんの作品に魅了され、根来塗の世界に入った。技法は高度かつ複雑で、漆を何度も塗り重ね、26もの工程を経て完成する。沸騰した湯を注いでも、落としても壊れない強度さとシンプルな造形美が特長。

会場では伝統的な木のとっくりやわん、箸、盆、現代風にアレンジしたカップなど約500点を展示。四隅を切り落とした「角切折敷(すみきりおしき)」は、600年前からあるデザインで盆、皿、膳など使い道は多様。角をなくすことで欠けや割れを防ぐ形状になっている。使用する漆は、14年前に岩出市の根来山げんきの森に植林した木から採取。天日で撹拌(かくはん)しながら水分を蒸発させる昔ながらの手法で精製している。

使い込むほどに朱の色がさえ、艶が増す根来塗。12年間使用し、赤漆から黒漆が表面に現れた趣のある器も展示。松江さんは「漆器は使いにくいイメージがあるが、根来塗は丈夫で気軽に普段使いできる。実際手にとってその良さを見てほしい」と呼びかけている。

午前10時~午後6時半(最終日は3時)。問い合わせは同店(℡073・433・1122)