副知事の辞職を承認 臨時県議会で岸本氏を追悼

岸本前知事を追悼する黙とうを行う県議、県職員ら
岸本前知事を追悼する黙とうを行う県議、県職員ら

和歌山県議会臨時会が9日に開かれ、岸本周平前知事の死去に伴う知事選(15日告示、6月1日投開票)に立候補を表明している宮﨑泉副知事(66)=知事職務代理者=の9日付での辞職が承認された。議場の知事席には岸本前知事の遺影を置き、花が手向けられ、出席の議員、当局関係者全員が黙とうをささげ、2人の議員が追悼の辞を述べた。

議場では、6月7日に和歌山市の県民文化会館で行われる岸本前知事の県民葬に、県議会も主催者の一員として参画することが報告され、岸本氏の県政への功績をたたえ、県民葬当日に県議会から弔詞をささげることを決定した。

議場の知事席に置かれた岸本前知事の遺影と花
議場の知事席に置かれた岸本前知事の遺影と花

追悼の辞を述べたのは、濱口太史(自民、新宮市)、長坂隆司(改新クラブ、和歌山市)両議員。

濱口議員は、県議会議長時代に公務を共にすることが多かった岸本氏との思い出にふれながら、「気配りや気遣いがうまく、本人の前でなくても人を立てることが自然とできる、優しく寛大な心の持ち主。揺るぎない責任感や発想力、多くの魅力と人間味あふれた知事だった」とたたえ、「私たちはあなたの遺志をしっかりと継承し、あなたがこよなく愛した郷土のために、これからも尽力することを誓う」と述べた。

長坂議員は、岸本氏を幼稚園時代から知る幼なじみ、同級生であり、高校時代や財務省官僚時代、衆院選への初出馬など、折々の岸本氏との交流を紹介。「来る日も来る日も街頭に立つその精神力と体力で、市民・県民の心をつかんでいた君は本当に強かった」「君は全く休もうとしなかった。人間としてもう少し遊びも必要だったなと今思うけど、決して弱音をはかない岸本周平らしい生きざまだった」としのび、「県職員、県議、あなたの大好きな県民一丸となって、岸本周平のまいた種をいつか大輪の花にできたらと思う」と話した。

宮﨑副知事の辞職は起立採決で承認された。退任のあいさつで宮﨑氏は、副知事に就任して間もなく岸本氏が急逝したことについて「一報を受けた時の衝撃は今も体全体に残っている」とし、「今後はふるさと和歌山をこよなく愛する一人として、県政の発展に微力をささげたい」と述べた。

知事選には宮﨑氏の他、共産党公認で元和歌山市議の松坂美知子氏(68)が立候補を表明。和歌山市のイベント運営業の男性(55)も意欲を示しており、新人2~3人の選挙戦が見込まれている。

宮﨑氏の辞職に伴い、10日から新知事が就任するまでの間の知事職務代理者には、福本仁志県土整備部長が就く。