新人2候補が第一声 和歌山県知事選告示

岸本周平前和歌山県知事の死去に伴う知事選が15日に告示され、届け出順に、共産新人で元和歌山市議の松坂美知子候補(68)、無所属新人で元副知事の宮﨑泉候補(66)=自民、公明、立憲民主、国民民主、社民県連推薦=の2人が立候補し、一騎打ちの構図となった。岸本県政の継承の是非などを争点に、6月1日の投票日まで17日間の選挙戦が繰り広げられる。

子育て支援や新産業の振興、熊野白浜リゾート空港(白浜町)の滑走路延伸に向けた利用促進をはじめ、岸本前知事が推進した政策を引き継ぐとしている宮﨑候補は、与野党5党が相乗りで支援。対する共産の松坂候補は、学校給食費の無償化など岸本県政の政策の一部を評価する一方、同空港の特定利用指定の撤回などの点で転換を訴えており、争点になるとみられる。

立候補の受け付けは県庁北別館4階で午前8時半から始まり、各陣営は届け出を済ませ、街頭演説用標旗などの選挙運動用物資、いわゆる「七つ道具」を受け取ると、和歌山市内で有権者への第一声を放った。

松坂候補は南海和歌山市駅前で第一声を行い、暑さとの戦いにもなる選挙戦に併せて購入したという、涼しげな水色ストライプのシャツ姿で現れた。支援者や駅利用者らが見守る中、党県後援会会長の小野原聡史弁護士と宮本岳志前衆院議員が応援演説し、松坂候補が決意表明。選挙カーに乗り込むまで支援者一人ひとりと笑顔で握手を交わすと、初日は同市内の商業施設や住宅街などを街宣した。

宮﨑候補はJR和歌山駅前で出陣式。推薦を受けた各党の国会・地方議員、市町村長、各種団体をはじめ、支援者ら約500人が沿道に詰め掛けた。応援弁士は、40年にわたり県庁で働き、要職を歴任してきた宮﨑候補の行政手腕に期待を寄せ、「岸本さんの後継者は宮﨑さんしかいない」などと訴えた。選挙カーから手を振りながら出発した宮﨑候補は、この日は和歌山市内や紀の川筋を走った。


上から届け出順

【名鑑の見方】名前(敬称略)投票日現在の年齢、党派・現新元別=推薦(自は自由民主党、公は公明党、立は立憲民主党、国は国民民主党、共は日本共産党、社は社会民主党)。①主な経歴②最終学歴③住所

松坂美知子候補(68)

共新 ①党県副委員長、元和歌山市議②お茶の水女子大文教育卒③和歌山市

安心安全、平和を守る

前知事が踏み切った学校給食費無償化はこれからも続け、さらに踏み込み暮らしを助けるために県として取り組む。

メタンガスが発生し続けている万博への子どもたちの教育旅行の押し付けはやめる。会場内は涼める場所も十分でなく、熱中症警報が出るような日は中止の決断が必要。

訪問介護が一つ、あるいは一つもない町や村が県内には七つもある。ヘルパーの介護報酬の引き下げ分、ガソリン代を支援し、歳を取っても住み慣れた場で安心して暮らしていける地域づくりを進める。

物価高騰に対して一番効果的なのは、消費税引き下げ。一律5%に引き下げると平均家庭で年間12万円の減税になる。大企業や大金持ちへの優遇税制、突出した防衛費にメスを入れれば財源を生み出せる。緊急に引き下げた後は廃止を目指す。

特定利用空港に指定された南紀白浜空港は、今後、有事を想定して自衛隊が訓練を行う。騒音被害が心配され有事の際は攻撃対象にもなりかねない。県民に危険をもたらす指定は撤回する。安心安全、平和を守る県政にしていく。


宮﨑泉候補(66)

無新=自・公・立・国・社推 ①元副知事、元県教育長②大阪大人間科学卒③和歌山市

地道に笑顔の和歌山を

岸本知事が急逝されてちょうど1カ月になる。本当に信じられなくて、残念な思いでいっぱいだったが、その思いを力に変えて、知事選挙にまい進したい。岸本知事が吹き込んでくれた新しい息吹をしっかり育て、大きな花を咲かせるべく取り組んでいく。

岸本知事のように、子どもたちがいつもニコニコして笑顔で暮らせる「こどもまんなか」の和歌山、一人ひとりが個性を生かして活躍できる和歌山をつくっていきたい。そのためには地道な取り組みが必要だ。和歌山には人口減少などの課題がたくさんある中、岸本知事は2年4カ月前の知事選の出陣式で「なんでも出せる打ち出の小づちはありますか。小さなことからコツコツと積み上げていくことが大事なんです」と話した。まさにその通りだと思う。

県民の声を聴き、現場の人たちと共に歩みながら進めていくことが基本。和歌山の子どもは和歌山で育て、一生懸命に勉強し、真面目に取り組んだ子どもたちが今度は和歌山を支える。そういう地道なことから始めたい。共に明るい和歌山、笑顔の和歌山をつくっていきたい。