失敗から学ぶ経営学 WIB例会で上野さん講演

失敗談を話す上野代表取締役
失敗談を話す上野代表取締役

経営者が知見や知識を共有し視座を高める、WIB(一般社団法人和歌山イノベーションベース・前田効多郎代表理事)の5月例会が9日、和歌山市黒田のワークサイトKey―Siteで開かれた。

同市出身で、保育施設向け紙おむつと、お尻拭きのサブスク「手ぶら登園」サービスを行う大阪市のBABYJOB㈱の上野公嗣代表取締役(46)が登壇。

成功談よりも失敗から学ぶことが参考になるのではと、起業までと創業してからの失敗したことや乗り越えた方法などをWIBの会員限定で特別に伝えた。

上野代表取締役はユニ・チャーム㈱で10年間勤務。2012年にBABYJOB㈱の前身である㈱S・S・Mを、18年にBABYJOBを設立した。24年にはTOKYO PRO Marketに上場。子育てに関するタスクが多過ぎる社会課題の解決と、全ての人が子育てを楽しいと思える社会の実現を目指している。

保育園へ通う子のおむつ全てに保護者が名前を記入して園へ持って行き、お迎えの時に使用済みを持ち帰るという、仕事と家庭と子育てをする母親のしんどさから、19年に「手ぶら登園」のサブスクを始めた。

当初、保育所側はおむつに課題はないとのことで普及しなかったといい、同サービスが20年に日本サブスクリプションビジネス大賞を受けたことで、保育園側が社会課題に気が付き、サービスが広がったと話した。

他にも、人事や経理管理などを任せる人選や資金調達、上場した裏側などを紹介。上野代表取締役は「企業の成長は、経営者が満足したら終わり。WIBは志を高める良い場で成長意欲が磨かれる。私の経験が起業のお役に立てれば」と伝えた。

また、WIBの古澤良祐会長は、4月15日に逝去した岸本周平知事が大切にしていた言葉「覚えたことは知識になる。忘れたことはセンスになる」を紹介。「WIBに残してくれた言葉だと思う。熱く一生懸命やることで、糧になり選択や判断の時につながる。知事の思いを継いでいきたい」と話した。