遊び心ある壁画が話題 備前のアートプロジェクト

コバヤシさん㊨が描いた壁画
コバヤシさん㊨が描いた壁画

和歌山県岩出市の備前に先月、突如現れた天使の翼が付いたハンバーガーの巨大壁画。周りにはレオナルド・ダビンチの「モナリザ」や、フェルメール、ゴッホ、ダリなどの名画をモチーフとした絵が描かれ、道行く人を楽しませている。

壁画は同市の中心地である備前を活性化させたいと、親の代から同所で不動産賃貸経営を行う㈱タイセイ産業の大西英喜社長(49)が立ち上げた「2463アートプロジェクト」の一つ。2021年から所有する周辺の店や壁を遊び心あふれる絵で彩る取り組みを始めた。

国道24号と県道63号線が交わる備前は、大型店舗や商業施設が密集しているエリア。JR岩出駅にも近く、広い道から一歩中に入ると個人商店も多い。大西社長は「ここを行き来するのは若年層が多いが、店の利用にあまりつながっていない課題があった」と言う。みんなが集まるにぎやかで楽しいまちにしたいと考えたときに、海外の路地で見た壁画アートを思い付いた。地元の作家3人に依頼し、現在約10カ所に描かれている。

「プチ・ツール」にはユニークなデザインが
「プチ・ツール」にはユニークなデザインが

備前交差点近くにある複合商業施設「プチ・ツール」では、窓をサングラスに見立てて描かれた女性、猫などユニークな壁画が話題となり、たくさんの人が訪れる写真スポットに。岩出駅近くのファッションストア「丁字屋」の駐車場には、花や立体的なパンダ、農業用倉庫の扉には未来のにぎわう備前のまちが大きく描かれている。

5月に完成したハンバーガーの壁画は、同市を中心に活動するイラストレーターのコバヤシカナさん(45)の作品。コバヤシさんは「小中高校生の通学路として多くの学生が行き交う場所なので、名画を取り入れ、美術にふれてほしいと思った。裏手にハンバーガーショップがあるから、インパクトのあるハンバーガーを中央に描いた」という。「この絵見たことある!」と話題になったり、散歩をする人が絵を見てほっとできたりする場所になってほしい」と話す。

大西社長は「今後作品の数と依頼する作家を増やし、アートを見ながらまち巡りを楽しんでもらえるようにしたい」とし、「5年後、10年後の備前をどうぞお楽しみに」と意気込んでいる。

写真スポットで大西社長㊧
写真スポットで大西社長㊧