一時預かり託児所オープン 山尾美里さん

子どもを迎える山尾さん(中央)
子どもを迎える山尾さん(中央)

子育てによる母親の孤立を解消しようと、和歌山市で親子交流会を開催してきた山尾美里さん(32)が、和歌山大学の近くに24日、念願だった一時預かり専門の託児所をオープンさせた。山尾さんは「ママが自分の時間を持つのは悪いことではないです。元気とパワーをチャージできると、子どももニコニコになり、笑顔が広がります」と話している。

場所は同市中の学生寮「グリーンプラネットハウス」の2階。山尾さんは2022年8月に娘を出産した際、周囲に子育てを頼ることが難しい「ワンオペ育児」に悩んだ経験から、同じ境遇の母親たちを助けたいと、親子で一息つける託児付きカフェの開設を目指し活動してきた。23年7月から親子交流会を開きながら、開設の勉強や場所探しに努めてきた。

山尾さんは、物置き状態だった会場の床の張り替えなど、内装工事にも自ら参加。親子交流会の利用者や地域住民も手を挙げ、引っ越し作業、ピアノやベビーベッド、絵本の寄贈、おもちゃの制作などを手伝った。

施設利用の対象は6カ月~6歳の未就学児。今月初旬に実施した5日間限定のプレオープンは満員で、24日からは、一日に約15人まで預かる。山尾さんの他、同会元利用者の保育士や、教育に興味を持つ大学生ら10人がスタッフとして勤務する。

母親が笑顔になることで、子どもが幸せな気持ちになり、家族や地域に波及・循環するスタート地点でありたいとの願いを込め、「託児所くるくる」と名付けた。毎日実施する「くるくるラボ」では山尾さんが学校教員の経験を生かし、手作りのさまざまな制作物を使って遊ぶ。子どもが飽きずに思い切り体を動かして楽しみ、親たちに「預けて良かった」と思える施設にしたいという願いがある。

山尾さんは「多くの人に助けてもらって開設できた。子どもを預けることに罪悪感を感じずに、ママが笑顔になる一つの方法として、身の回りの託児所を利用してもらいたい」と呼びかけている。

1階に、子どもと少し離れて母親たちに一息ついてもらえるカフェスペースを計画中で、ことし秋の開設を目指す。

交流会の元参加者でスタッフの石田舞さん(36)は「ママの気持ちに寄り添ってくれる山尾さんなので、自分も何か手伝いたいと思った。子どもや母親への配慮があって働きやすい」と笑顔。2歳の子どもを預けた同市紀三井寺の公務員、青枝由依さんは「自分にとって保険のような場所です。頼れる場所があるから毎日頑張れます」と話した。

保育は平日の午前9時から午後4時まで。初回は1時間800円で、子どもの健康状態などを確認する。2回目以降は50時間で3万円のチケットや月決め料金もある。

問い合わせは山尾さん(℡090・4492・5426)かメール

インスタグラム(@wakayama_wakuwaku_mama)から。