インドが由来「ポンカン」

前号では「不知火(しらぬい)」と「デコポン」が同じ柑橘(かんきつ)であることを取り上げた。「ポンカン」と「清見」を掛け合わせてできた不知火とデコポン。柑橘の家系をたどり、今週はポンカンを紹介したい。
ポンカンは果実の頭部が突き出ており、お尻がへこんでいるのが特徴。不知火・デコポンで大きく発達したデコの由来ともいえる。温州みかんより一回り大きく、直径7~8㌢、重さ120~150㌘で酸味がなく甘味が強い。外皮がむきやすく内皮は薄くて柔らかいため袋のまま食べられることから子どもにも好まれる柑橘の一つだ。
歴史は古く、インドが原産とされ、アジア各地で栽培されている。農水省統計(2017年)によると、国内の主な産地は愛媛県(40%)、鹿児島県(15%)、高知県(12%)、熊本県(8%)、和歌山県(6%)、大分県(4%)と、西日本地域での栽培が多い。紀南では「くろしおポンカン」の名称で販売され、日当たりが良く温暖な地形を生かした甘味の強いポンカンを出荷している。
県内での収穫時期は12月中旬頃から1月にかけて。長い期間、木に成らせておくと水分が抜けやすいとされ、早い時期に収穫され1月中旬頃まで貯蔵し出荷される。大きい物は皮が厚く大味であるため、やや小さめで果汁の多い重めのものがおすすめ。皮に張りがなく柔らかいものは水分が少ない可能性があるので避けた方が良く、保存の際もポリ袋に入れるなど、水分の蒸発を防ぐことがおいしく食べるこつといえよう。
疲労回復に有効とされるクエン酸や、整腸作用が期待できるペクチンが多いのも魅力。時候の変わり目に、ぜひポンカンを食べてみては。(次田尚弘/和歌山市)