防災まちづくり大賞 消防庁長官賞に下津二中
消防庁が主催する「第25回防災まちづくり大賞」の消防庁長官賞に、下津第二中学校(和歌山県海南市下津町下、油谷正之校長)が選ばれた。同校では約10年にわたって津波避難訓練や防災学習を積み重ね、生徒が自ら命を守るための知識と行動力を身に付ける取り組みを続けており、積極的な地域ぐるみの防災活動が評価された。
防災まちづくり大賞は、防災や減災に関する幅広い視点からの効果的な取り組みを表彰することで、災害に強い安全なまちづくりを一層推進するもの。
今回の受賞では、「いのち」と「くらし」の実践的防災学習をテーマに、2019年9月21日に市の防災訓練で、塩津・大崎地区と共同で実施した自主防災訓練の取り組みが評価された。
地域の避難所や在宅避難先で被災者の支援を行う災害ボランティアの活動訓練を、地元小学生や大学生、福祉系専門職、一般ボランティアらと共同で実施。全国から被災経験のある学生を招き、ワークショップを開くなど、地域や支援者のつながりづくりの取り組みが高く評価された。
当日は塩津・大崎地区(420世帯931人対象)で発災した想定で、中学2、3年生が津波避難訓練を行い災害時の食事を作った。中学1年生は「災害関連死を防ごう」を目標に、被災5日後と想定した避難所や在宅避難場所を回り、生活者の健康状態の聞き取りなどをグループで行った。地元小学生の他、社会福祉協議会の呼び掛けで東日本大震災時に小・中学生だった大学生を全国から招き、282人が参加した。
また、同校生徒と学生たちによるグループワークを行い、気仙沼市の津波襲来や津波による火災の映像を見て状況のすさまじさを再認識。南海トラフ巨大地震に備えて事前にできることや発生時にできることを、付箋に書いてボードに貼り付けていくグループ発表などを行った。
市と塩津・大崎の両防災訓練の共同実施を企画した同市危機管理課の上田知史さんは「学校だけでなく、地域と共に防災啓発を今後も継続して展開していく」としている。油谷校長は「生徒たちには、ボランティア活動を通して、さらに防災意識を高めていってもらえれば」と話した。