ウィンウィンの関係を 宇宙事業の講演会
第127回和歌山放送情報懇談会が16日、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で開かれ、串本町でロケット発射場を建設しているスペースワン㈱(東京都)の遠藤守最高顧問が「宇宙とくらす」、県産業技術政策課の柴田和也課長が「ロケット打ち上げに向けた地域政策について」をテーマに講演した。
会の冒頭で、和歌山放送の中村栄三社長が「本年度中に1号目のロケットの打ち上げが予定されており、県民の期待や関心の高さを感じている」、仁坂吉伸知事は「新しい時代の流れに県がはまっていることを誇りに思う」とあいさつした。
講演では、「宇宙時代の地球人を育てる」をコンセプトに、県内二つの分団をはじめ、全国に140カ所ある日本宇宙少年団で専務理事も務める遠藤最高顧問が、地球から100㌔とされる宇宙に行くために必要な速度や、ロケットの原理、特徴などについて説明。「今後一般の人が宇宙観光できるような準備をしている」と宇宙ツーリズムについても紹介した。
ことしの夏、串本町に完成予定の「スペースポート紀伊」については「和歌山の新たな魅力になれるのでは」と期待し、「地域の支援や理解があってこそ串本町に決めたので、ウィン・ウィンの関係を築いていきたい」と話した。
民間ロケットに関連する取り組みや、再生可能エネルギーの推進などを担当する柴田課長は、「スペースポート紀伊」の経済効果は10年間で670億円見込まれるとし、「地元への経済波及効果の最大化とともに、交通渋滞の回避など、誘客と受け入れ体制を整え両立していきたい」と話した。
具体的な案として、串本や勝浦の宿泊施設から見学場までのパークアンドライドを挙げ「車を停めて、宿泊し、ロケットを見に行くことで、経済効果だけでなく、当日の渋滞を避けられる」と期待する一方、「さまざまな理由による延期問題については今後の課題」と話した。
同地の見学場は5000人を収容でき、他と比べても大規模な上、近距離から見られるといい、「会場に大型モニターを置いて、できるだけ臨場感が出るようにしたい。本年度も宇宙シンポジウムなどで教育につなげながら、引き続き盛り上げていく」と意気込みを語った。