カラオケは換気が重要 専門家が店舗に助言

カラオケを扱う店舗で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の発生が相次いでいることから、新型コロナの感染症対策で知られる藤田医科大学(愛知県豊明市)の吉田友昭医学博士らが12日、和歌山市内でカラオケができる4軒を訪問。感染症に関する実証実験を行うとともに、店側に具体的な対策方法を伝えた。

カラオケを扱う店舗での安全性について検証しようと、吉田教授が、全国カラオケ事業者協会(東京都品川区)に呼び掛け、和歌山市中筋日延に本社を置くカラオケ総合商社「㈱ミニジューク関西」(島垣利光社長)と実施。同社の知念巨(ひろし)営業部長、島雅朗取締役も同行し、同市古屋のカラオケ喫茶「スタジオエモト」から実証実験を始めた。

同店は感染症対策を徹底し、クラスターは発生していないが、さらなる対策につなげようと、同店の絵本安規子さんらがアドバイスに真剣に耳を傾けていた。

吉田医学博士は、これまでのクラスターを例に挙げながら、「新型コロナウイルスはインフルよりも多量のウイルスが呼気に含まれており、空気中に舞いながら残存する時間が長い」と特性を説明。カラオケ時は、首に掛けられる小型の扇風機「首掛けファン」の使用を推奨した。

吉田医学博士によると、深い呼吸で歌うカラオケ時には、呼吸している時間のみの場合に比べ、1000倍近く飛沫(ひまつ)が飛ぶといい、「大きな飛沫はマウスシールドなどでしっかりと対策した上で、小さな飛沫は首掛けファンで上に送り、下に落ちてこないように工夫することが大切」と伝えた。

同店の換気扇はステージ横の天井に設置されており、首掛けファンで上に送った飛沫を、さらに小型のファンを使って風速3㍍程度の弱い風で飛沫を換気扇に送り込む流れを説明し、「ちょっとした工夫で、出た呼気を量が増えない間に流してあげることが大切」とアドバイス。

絵本さんは「専門家からいろいろ説明してもらえて勉強になりました。首掛けファンを取り入れて、今後も徹底した対策を続けていきたいです」と話していた。

吉田医学博士による「スナックの換気対策」は、同協会のホームページでも公開されている。

 

首掛けファンを使いアドバイスする吉田医学博士