甘い大玉召し上がれ 下津のビワ出荷始まる
和歌山県内最大のビワの産地、海南市下津町仁義(にんぎ)地区で、今シーズンの出荷が始まった。水はけの良い傾斜地で栽培され、食味の良さは市場でも高く評価されている。
同地区のビワは、2019年に日本農業遺産に認定された「下津蔵出しみかんシステム」の中に位置付けられている。
ミカン栽培の傾斜地よりもさらに急な斜面で育てられる同地区のビワは、雨やハチ、病気予防などのために実に袋がけをするが、ビワの枝は折れやすく、急斜面で木に登って行う作業は農家にとっては命懸けという。
従事者の高齢化に伴い、担い手も減少しつつあり、収穫量も減少傾向にある下津のビワは、夏の初めの貴重な味覚となっている。
出荷作業はJAながみね仁義集荷場(同町引尾)で行われており、初日の7日には同地区の約70件の農家から約1500ケース分が集まり、職員らが忙しそうに作業に取り組んでいた。
同JA下津びわ部会の久保彰吾部会長(70)は「ことしのビワは例年より少ないが、甘みがのった大玉サイズ。手間をかけた味を楽しんでもらえたら」と話す。収穫量は前年並みの40㌧を見込んでおり、京阪神を中心に、関東、東北などの市場にも出荷される。
同集荷場横には直売所もオープン。店員は「県外や和歌山市内の人たちがオープン前から待っていてくれた。果肉も厚く、ジューシーで上品な甘さの下津のビワを食べてもらえたら」と笑顔でPRしている。23日ごろまで開設予定だが、早期終了の場合もある。1箱(6パック)1620円。