「情報遅い」市民に不満 和歌山市の断水で
和歌山市企業局の職員が六十谷水管橋の崩落を確認したのは3日午後4時10分ごろ。断水が発生することを市が一般市民に広報したのは午後7時ごろ、防災無線を通じてで、3時間近くがたっていた。ホームページや市公式SNSなどでも順次、情報が発信されたが、市民からは「遅すぎる」「知った時にはスーパーの水は売り切れていた」「情報が少なくてどうすればいいか分からない」などと不満の声が相次いだ。
市役所の公式ツイッターアカウントから断水の情報が発信されたのは同日午後9時のこと。内容は「【和歌山市企業局からのお知らせ】六十谷水管橋の破損により、紀の川北部地域が断水となります。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします」が全文。この時点では、破損の状況も市の対応も記されておらず、関連情報へのリンクなども示されていない。
崩落現場周辺の住民などには、目撃情報や一部報道を受けて、市の発表前から断水のうわさが拡散しており、午後6時ごろに友人から連絡を受けたという人や、6時半ごろには周辺のスーパーで飲料水が売り切れたとの情報もあった。
断水対象地域の女性(49)は「あまりに遅くて内容がないツイッターだった。9時にはもう対処のしようがなかったのに」とあきれた様子。紀の川南部の女性(54)も「もっと早く知っていたら友人の分の水などを用意してあげたかった」と残念がる。
詳細を欠く情報は混乱を招く恐れもあるため、情報発信が適切だったかどうかは検証が必要だが、速報性や情報の拡散力に優れているSNSの活用法、複数の情報発信手段が同時ではなく、段階的に使われたことなどには疑問が残る。