県と中国清華大が覚書 人材や学術で包括交流

和歌山県は、中国を代表する総合大学の清華大学(北京市)と包括交流の覚書を交わした。調印式は県庁と清華大をオンラインで結んで開催。今後、県が窓口となって清華大と県内大学との学術交流などを推進する。

清華大は北京市にある1911年創立の名門大学。中国教育部の直属で、規模は学生数約5万3300人、教員数約1万5700人。多くの研究者や技術者、政府高官らを輩出し、主な卒業生に習近平国家主席、胡錦濤前国家主席、ノーベル物理学賞受賞の楊振寧らがいる。

英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」によるアジア大学ランキング2021で1位、世界大学ランキング2022でアジア最上位の16位となっている。

清華大は鹿児島県や北海道、東京都などと覚書を交わしており、和歌山県は7例目。清華大の陳旭書記が2019年12月に来県した際、仁坂吉伸知事に交流を提案したことがきっかけとなった。

覚書では、人材、青少年、学術の交流によって相互発展の取り組みを推進するとし、県が窓口となり、県内学生の清華大への留学や、青少年の相互訪問による交流、県内大学との研究協力などを進めることが想定されている。

仁坂知事が訪中して調印式を行うことを計画していたが、新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催となった。

調印式で陳旭書記は、古代に日本を訪れたと伝えられる徐福、中国の革命指導者・孫文と和歌山の博物学者・南方熊楠の友情、白浜のパンダなどを例に、「和歌山は歴史的にも現代においても日中友好交流の舞台となり、非常に重要な役割を果たしてきた」と述べ、覚書によって、人材育成や芸術文化の交流、産官学研究協力などが実質的に推進されることに期待を寄せた。

仁坂知事は「アジアでナンバーワンのランキングにある大学と調印ができ、大変喜んでいる。素晴らしい方々と交流することによって、和歌山の学生がグローバルな人材に育つことを期待している」と歓迎した。

 

オンラインの画面越しに陳旭書記と言葉を交わす仁坂知事(手前右)