経済学者の宮本さんらに 和歌山市文化表彰
和歌山市の文化向上、発展に功績のある個人・団体に贈られる2021年度市文化表彰の受賞者が決まった。「文化賞」に市出身で経済学者の宮本勝浩さん(76)=大阪府=、「文化功労賞」に和歌山文化協会会長の森本光子さん(80)、市出身の化学者の金子達雄さん(50)=石川県=、「文化奨励賞」にピアニストの宮井愛子さん(39)、いきいきシニアわかやまの4人と1団体が選ばれた。【写真は和歌山市提供】
宮本さんは、大阪府立大学経済学部長、副学長、関西大学大学院会計研究科教授などを歴任し、現在は両大学名誉教授。神戸大学から経済学博士号を授与され、移行経済における数理分析で世界的にも高い評価を受けている。「阪神(タイガース)優勝の経済効果」や「東京オリンピック・パラリンピックの経済効果と赤字額」など、国民の関心を引く身近な経済学の研究を次々と発表。数理分析を用いて本質を解く姿勢は経済学のみにとどまるものではなく、政治、スポーツ、国際情勢、文化の発展などにも大きな功績を残している。
森本さんは和歌山文化協会で長く地域の文化活動に積極的に貢献し、1999年からは副会長、会長を歴任。茶道の表千家同門会では同年、女性初の県支部事務長に就任し、現在は参与として活躍している。長年にわたり数々の和歌山の地域文化活動に携わり、文化芸術の各分野での後進の指導、育成、市の文化の向上、発展のため尽力した功績は大きい。
金子さんは、東京工業大学で工学博士号を取得し、現在は北陸先端科学技術大学院大学教授を務めている。2020年10月に発表したバイオプラスチックは、プラスチックとして史上最高の熱分解温度と、既存のナイロンと同等の力学強度の値を達成。プラスチックの利便性と恩恵を最大限に生かしながら、海洋プラスチックなどの環境汚染問題に対して大きな効果のある業績となり、世界で評価され、文部科学大臣表彰若手科学者賞、ゴットフリード・ワグネル賞などを受賞している。
宮井さんは5歳からピアノを始め、和歌山県高校ピアノコンクール第1位・教育長賞を獲得。京都市立芸術大学音楽学部卒業後、和歌山市民オペラ協会の公演やソロリサイタルなど市を拠点に演奏活動を続けている。15年にはFUGA国際音楽コンクール優秀者最終選考会で金賞、プリミエ賞(アーティスト部門最優秀賞)、スープリーム賞(ピアノ部門最優秀賞)を受賞。活動の幅を広げながらも市での演奏活動を重視し、良質な音楽にふれる機会を提供している。
いきいきシニアわかやまは、高齢化社会への対応を目的に、シニアが培ってきた人生経験を生かし、より人生を豊かにし、地域に役立ち、いきいきと活躍できる場を提供できるよう、08年に設立された。シニア世代の仲間づくりや生きがいを見つける手伝いをし、現代社会の大きな課題の解決に取り組んでおり、高齢化が進む時代において社会への貢献度は高い。
市文化表彰は1982年度から実施しており、40回目。受賞者は今回を含めて146人、29団体となる。
受賞者には表彰状と徽章(団体には盾)、副賞が贈られる。