長い歴史を持つ「橙」
前号では、花粉症対策に有効とされる「じゃばら」を使ったジュースの作り方を取り上げた。じゃばらの他にも主に果汁を使用する柑橘(かんきつ)がある。今週は「橙(ダイダイ)」を紹介したい。
橙は正月飾りや鏡餅に乗せる縁起物として広く知られる柑橘。長いものでは数年間も実が落下せず、新旧問わず、木に実が成り続け「代々栄える」という語呂合わせからその名が付けられた。
インド、ヒマラヤが原産で、1000年近く前から栽培され、日本には600年ほど前の室町時代に中国から伝来したとされる。ヨーロッパでは「サワーオレンジ」の名が付けられ、日本名の橙(ダイダイ)と比べれば随分しゃれた名で呼ばれている。
果実は丸みを帯び、張りがあることが特徴。温州みかんよりやや大きいサイズだが、ずっしりとした重さがあり、1個あたり200㌘から250㌘ある。外皮は分厚く手で剥くには硬いため包丁などで輪切りにする。切ってみるとその重さが故に果汁がたっぷりで、ほのかな甘みを感じるが、実際にそのまま食すとなると酸味や苦みが強いため、果実を食べることは難しい。
農水省統計(2018年)によると、主な生産地は、1位が広島県(約400㌧)、2位が静岡県(約250㌧)、3位が和歌山県(約150㌧)で、和歌山県における収穫量は全国上位を占めている。
収穫は10月下旬ごろから。正月飾りとしての需要から12月に最盛期を迎えるが、2月ごろまで収穫は続き、ちょうど今ごろが果汁の甘味が増す時期。橙はポン酢やサワーとしての利用に適した柑橘。次週は橙の調理方法を紹介したい。
(次田尚弘/和歌山市)