漁業×食で売り出せ 和歌山市観光協会

和歌山市観光協会は、市が誇る「漁業」と「食」を掛け合わせた体験型の観光コンテンツを、地元の事業者らと新たに立ち上げようと取り組んでいる。地元の価値と魅力を再発見し、持続可能な観光資源づくりへブラッシュアップを目指す。

同事業は本年度、観光庁の公募事業「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」に採択。

市観光協会と事業の委託先の㈱ぐるなびが、地元の事業者らと連携して「休日をどのように過ごし、満足してもらうか」をテーマに、ここでしか経験できない「漁業×食」を中心に特別な体験をしてもらおうと企画。まずは実証実験を行おうと、本年度は「ファミリー」や「DINKs(ディンクス)」「インバウンド」など明確なターゲットを設定した3種のモニターツアーを実施している。

このほど、大漁体験と題し、加太で漁船に乗り、釣りをするインバウンド向けのモニターツアーを実施。同市は関西国際空港からほど近く、アフターコロナの外国人観光客の需要を見込み今回、日本の企業で働くベトナム人の男女3人が参加した。海釣りは全員初めてだといい、地元の釣り船に乗り、加太の名所・友ヶ島を望みながら3時間の釣り体験。引きを感じた参加者は声を上げながらリールを巻き、魚を釣り上げた。

初めての体験にゴ・アン・トゥンさん(35)は「釣れた瞬間はうれしかった。魚の引きがすごかった」と笑顔。

釣った魚は加太の情緒ある町並みを楽しみながら参加者が地元の活魚料理店に直接届け、調理を依頼する。この日の釣果は、アジ、サバがそれぞれ2匹ずつ、キスと小鯛が1匹ずつの計6匹。3人は「世界一おいしい魚を持って来ました」と元気よく訪問。店主の稲野雅則さん(48)さんは「ローカルのうまみ、加太ならではの新鮮さを味わって」と話し、地元で取れる魚の種類や特徴などを解説。地元の人との交流を楽しんだ。

その後、参加者は地元の温泉に入り、自分たちが釣った魚を調理した鮮度の良い刺し身や天ぷらに舌鼓。終了後のアンケートでは、「地元の人とふれあえるのが良かった」や「行ってみないと分からない良さがあった」といった声が寄せられ、おおむね好評だったという。

同市観光協会の谷口敬哉事務局長(57)は「観光として漁業×飲食業というのは今までなかった。これをきっかけに和歌山のおいしい魚をもっと広く知ってもらいたい。ぜひ本物を味わってもらえれば」と話していた。

市観光協会はこの他、料理人と共に行く魚市場の買い出しツアーなどを実施。アンケートやヒアリングなどの結果を参考に内容を精査し来年度以降、売り出していきたいという。

活魚料理店の店主との交流も

活魚料理店の店主との交流も