事業承継で連携 県商工会連合会と日本公庫
和歌山県内30の商工会でつくる県商工会連合会と政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)の2支店(和歌山・田辺)は16日、事業承継支援に関する覚書を締結した。経営者の高齢化や後継者不足が深刻な状況の中、事業の譲り渡しを希望する県内事業者と全国にある日本公庫の取引先とを結ぶ、連携事業スキーム「わかやま事業承継マッチングサービス」を構築。企業の廃業の抑制や事業拡大の裾野を広げることが期待される。
各都道府県の県連と日本公庫が連携事業スキームを結ぶのは全国で5例目。
和歌山市七番丁の和歌山城ホール特別会議室で行われた締結式には、県連の植田英明会長と山本和秀専務理事、日本公庫和歌山支店の川口英明支店長と同田辺支店の武藤純司支店長が出席し、覚書を交わした。
植田会長は「地域の火を消さないよう、事業承継し地域企業を続けることができれば」と述べ、川口支店長は「県外の人に和歌山のきらりと光る企業に興味を持っていただくため、日本公庫の全国ネットワークを活用してもらえれば」とあいさつした。
県連の会員は1万人弱。ここ2年ほど会員数は上昇している一方、そのうちの約65%が60歳以上と経営者の高齢化が進んでいる。後継者不足も深刻で、コロナ禍で親族内承継や社内承継も停滞気味。社外の第三者に事業を譲渡する「第三者承継」もまだまだ周知が行き届いていない。会員企業の中には、収益があり黒字であるにもかかわらず、廃業や休業を決意するところもあるという。
同連携事業スキームでは、地域事業者に精通した県連が会員企業の中から高齢や後継者不在などを理由とする事業の譲り渡しのニーズを掘り起こす一方、日本公庫が全国152支店のネットワークを活用して事業拡大や創業などを希望する相手に紹介し、ニーズが合致する両者をマッチングすることで事業継続を図る。マッチング後も、県連と日本公庫が伴走型でサポートするという。日本公庫は2021年度から、事業承継マッチング支援を全国で展開している。
今後、会員企業に対し、第三者承継を含む事業承継の周知を進め、事業を継続するための選択肢の一つに入れてもらうよう働き掛けていくという。