歩行者は手を上げ「ありがとう」 県警ら運動
横断歩道を渡る時は、手を上げてドライバーに意思表示し、会釈をして渡ろう――。和歌山県と県警は、歩行者のそんな一連の所作の周知を図る「サイン+(プラス)サンクス運動」をスタートさせた。歩行者が渡ろうとしているにもかかわらず、横断歩道の手前で一時停止をしない車が多いことが背景にある。県内の13小学校を推進校に選び、児童に実践してもらうことで広く交通安全を県民に呼び掛ける。
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が昨年実施した「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」によると、県内の車の一時停止率は全国平均の30・6%を大きく下回る18・4%。全国ワースト5位という結果を受け、県警はドライバー向けの対策を講じてきたが「歩行者優先」の考えがなかなか浸透しないことなどから、「歩行者からアクションを起こしてもらおう」と逆の発想で同運動をスタートさせた。
歩行者が手を上げ、横断歩道を渡る意思を明確に示す「サイン」と、停止してくれた運転者に会釈などで感謝を伝える「サンクス」のコミュニケーションを取ることで、運転者の歩行者保護意識の向上を目指すのが狙い。
県が6月に実施した独自調査によると、信号機のない横断歩道で歩行者が横断時に手を上げた場合、車の一時停止率は85%。手を上げない場合の5%に対し、17倍に上ることが分かり、通学時などで横断歩道を利用する機会の多い小学生から発信してもらうことに期待している。
推進校は、本紙エリアでは岩出市立山崎北小(岩出署)、和歌山市立大新小(和歌山東署)、同市立伏虎義務教育学校小学部(和歌山西署)、同市立藤戸台小(和歌山北署)、海南市立内海小(海南署)の5校が指定を受けた。
推進校の一つ、和歌山市新大工町の市立大新小学校で12日、推進校の指定式が行われ、和歌山東署の左向伸次署長が「互いに思いやる気持ちを持ってもらい、交通事故を防げれば」とあいさつし、山本恵子校長に指定書を交付。嶋田光浩県民生活課長は、大新交通少年団の神屋敷久美団長にのぼり旗を手渡した。
式終了後は校門前の道路へ移動し、地区の交通安全活動団体や紀陽銀行女子バスケットボール部「ハートビーツ」の3選手も加わって啓発活動を実施。運転者らに啓発グッズを手渡しながら安全運転を呼び掛けた。
県警の公式ユー・チューブチャンネルでは、きしゅう君がきいちゃんに横断歩道の渡り方を伝える小学生向けの動画も配信している。