県内でも栽培盛んな「日川白鳳」

前号では、地域に根差し親しまれる、和歌山生まれの「桃山白鳳」を取り上げた。今週も、白鳳の変異種である「日川白鳳(ひかわはくほう)」を紹介したい。
日川白鳳は、1973年に山梨市で発見された白鳳の枝変わりの品種で、81年に品種登録されたもの。前々号で取り上げた「はなよめ」の元となった品種でもある。
果実の大きさは250㌘程度。全体的に赤く色づきやすく熟すほどに赤みが増す。食してみると果汁がたっぷりでジューシーな味わいが楽しめる。中心にある種がやや大きく感じるが、とろけるような果肉が食欲をそそる。糖度は11~13%と決して高くないが、酸味が少ない(0・2%~0・3%)ことから、甘さを感じられるのが特徴。
全国各地で栽培されており、2018年の農水省統計によると栽培面積の第1位は山梨県で全体の52%(408・2㌶)。第2位が和歌山県で14%(110・2㌶)、第3位が福島県で8%(66・5㌶)となっている。日川白鳳における全国の栽培面積は788・2㌶で、これは桃全体で4番目の栽培面積。桃全体の約1割を占める、知られた存在である。
早生白鳳に分類され収穫時期は6月下旬から7月上旬で、7月下旬まで市場に出回る。着色が良い品種であることから、全体が赤く色づいたものがおすすめ。また、縫合線が浅く左右対称にふっくらしたものがおいしいという。
全国で広く栽培され、和歌山県でも栽培が盛んな日川白鳳。ぜひ、その味わいを楽しんでみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)