体操して特殊詐欺防げ 高齢者向け講習会
和歌山県警生活安全企画課と海南署は20日、海南市下津町大崎に住む高齢者を対象にした特殊詐欺被害防止講座を大崎公民館(谷上昌賢館長)で開いた。体操で詐欺防止を呼び掛ける動画を活用。地域住民約30人が体を動かしながら、特殊詐欺への抵抗力も高めた。
県内でも特殊詐欺被害が多発していることを受け、高齢者が多く暮らす大崎地区の依頼で実施された。
同公民館の「生きがい教室」の時間を活用。谷上館長は「コロナと特殊詐欺は人ごとではない。自分ごとと捉え、きょうのことを家庭に持ち帰って話し合ってもらえたら」と呼び掛けた。
県警が制作した「『筋肉』・詐欺被害防止体操」動画の視聴や、警察OBによる詐欺手口の実演、事例紹介などがあった。
同動画は、県警が特殊詐欺被害防止を目的に、「筋肉は裏切らない」のフレーズでおなじみの、順天堂大学先任准教授谷本道哉さんの協力を得て制作したもの。体を動かすことで脳が活性化し、インプットされやすいという。
谷本さんが、テーブル腕立て伏せや前屈など、手口対策別の9種類の体操とともに、「詐欺電話をすぐ切れる強い腕力をつけましょう」などと、特殊詐欺被害防止のキーワードを分かりやすく解説しながら紹介している。
参加者らは腕を伸ばし、左右に体を動かしたり、反らしたりと実践した。
また、警察OBで県警特殊詐欺被害防止アドバイザーの松嶋伸夫さん(71)が、実際にあった詐欺の音声を紹介し、キャッシュカード詐欺の手口を実演。また、電話や訪問で「不要なものを買い取る」と言い、宝石や貴金属をだまし取っていく「押し買い詐欺」も近年多発していると話し、注意を呼び掛けた。
参加した藤岡定男さん(73)は「ためになった。不用品を買い取るという電話は何度かある。詐欺は身近に起こるのだと、改めて気を付けたいと思った」と話した。松嶋アドバイザーは「皆さん熱心に聞いてくれていた。体操することで脳が活性化され被害防止につながる。今後も積極的に広めていきたい」と話した。