職人の技を間近に ものづくり文化祭盛況

和歌山県内のものづくり企業が集い、技術を体験できるイベント「和歌山ものづくり文化祭」が5日、和歌山市の和歌山城ホール1階展示室で始まった。6日まで。ものづくりの魅力や職人の技術にふれてもらおうと初開催。県北部の伝統産業をはじめとする木工、漆芸、金属加工、繊維など製造業20社の職人が実演の他、講師となりワークショップを開いている。

県内のものづくり企業の若手経営者らでつくる和歌山オープンファクトリー推進委員会(菊井健一会長)が主催。次代を担う子どもたちに、地元には日本や世界に誇る技術力を持つ企業があり、情熱を注ぐ職人たちが多くいることを知ってもらおうと企画した。

1953年の創業以来、美容師が使うはさみを作り続ける菊井鋏製作所(同市小雑賀)のブースでは、幅3㍉、長さ6㌢のアルミの棒を、職人用の金づちでたたいて平らにし、キーホルダー作りに挑戦。参加した小笠原柊太さん(9)は真剣な表情で金づちを使い「思ったより重くてびっくりした。うまくできてうれしい」とにっこり。入社して5カ月という同社の野﨑佳裕さん(25)は「普段は自分の会社の職人さんしか見ていなかったが、他の職人さんに出会え、技術を見ることができて勉強になった」と話した。

国産のシダを使いほうきなどを作る深海産業(海南市阪井)のコーナーでは、キッチンブラシ作りを実施。同社の深海耕司専務(38)は、「職人にとって今まで当たり前にやっていたことを人に教えることで新たな発見が生まれ、会社としてスキルアップにつながる。このイベントに参加して本当に良かった」と笑顔。

その他、板金加工を行う岩橋シートワーク(和歌山市内原)の、板金を曲げて組み立てるLEDキャンドルランタン作り、ダンボールを製造販売する寺本紙器(橋本市)のランプ作り、家具のあづま(紀の川市名手市場)の桐箱作り、三木理研工業(和歌山市栄谷)のスライム体験、町宗工芸(海南市岡田)の曲げわっぱ絵付け体験など、どのブースも大にぎわい。子どもだけでなく、大人も夢中になってものづくりを楽しんでいた。

5日には2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が県内初登場した。

菊井会長(35)は「初めての開催で不安だったが、たくさんの人に来場いただき、ものづくりに興味を持ってくれてうれしい。小さいブースで全てを伝えるのは難しいので、きょう出会った職人さんに会いに産地を訪ねてほしい」と話した。

午前10時から午後5時まで。入場無料。一部ワークショップは有料。

キーホルダー作りに挑戦

キーホルダー作りに挑戦