ローカルファーストなまちへ 和市でシンポ
地元の企業や消費を応援し、地域経済の資金循環や発展を促す「ローカルファースト」なまちづくりについて考えるシンポジウムが16日、和歌山市の和歌山城ホールで開かれた。一般財団法人ローカルファースト財団が主催。まちづくりに関わる有識者らとのパネルディスカッションで尾花正啓市長は、市としても「ローカルファースト先進シティ」として、民間や市民を巻き込んだまちづくりを進めていく考えを示した。
ローカルファーストとは、地域に住む人が自分たちのまちの未来を考え、より豊かにしていこうという考え方。地元での消費や、地域内流通・資金循環を重視したまちづくりを目指す。
シンポジウムは「官民連携によるローカルファーストのまちづくりを進めるために」をテーマに、行政と民間が連携したローカルファーストのまちづくりの意義を広く発信しようと開かれた。
第1部では、国土交通省都市局の天河宏文局長、尾花正啓市長、地域エコノミストの藻谷浩介さんが基調講演。その他、浜田市、青森市、福知山市で行われた勉強会について、まちづくりを考える団体のメンバーらが報告。地元での買い物を促進するイベントを開いたことなど、各市における取り組みを発表した。
第2部のパネルディスカッションには、尾花市長、日本商工会議所地域振興部の宮澤伸部長、和歌山商工会議所青年部(和歌山YEG)の津村周会長、和歌山大学経済学部講師の上野美咲さん、日本商工会議所「まちづくり・地域経済循環推進専門委員会」の亀井信幸委員長が登壇。和歌山大学副学長で経済学部の足立基浩教授が進行役を務めた。
討論会に先駆けて足立教授は、GDP(国内総生産)に占める県の割合は0・6%程度にとどまっていると指摘。県が占めるGDP上昇のためには、観光や販売、流通の分野で県外消費の3%を県内で回すことが重要だと強調。「地域内でお金を循環すれば、雇用も生まれる」と話した。
ビジネスの視点では、宮澤部長が「ビジネスチャンスを感じられるまちづくりが実現できるように、国、自治体と連携しながら提言していきたい」と話し、上野さんは「世界規模と地域の視点(グローカル)の中にローカルファーストを位置付けるべき」と呼び掛けた。
地域での買い物を推奨する「BUY LOCAL運動」を2018年から推進している和歌山YEGの津村会長は、「和歌山市や市内五つの大学と連携しながら、『和歌山といえば、ローカルファーストのまち』という認識を官民連携、公民共創で広げていきたい」と述べ、亀井理事長は「和歌山はローカルファーストを理解されている人が多い印象。若い世代でも実践しているので、まさにローカルファースト先進シティですね。うらやましい限り」と話した。
尾花市長は、ローカルファースト先進シティとして地産地消を盛り上げていきたいとし、「廃棄物を有機肥料に変えるなど資源循環にも取り組んでいきたい」と話した。