衆院和歌山1区補選 自民県連が門氏を擁立
衆院和歌山1区補欠選挙(4月11日告示、23日投開票)を巡る自民党県連の候補者選考は18日、門博文元衆院議員(57)を候補者とすることで決着した。当初は有力視された鶴保庸介参院議員(56)のくら替え出馬に異論が噴出し、難航した末の結論。県連会長の二階俊博元党幹事長は「県連所属の国会議員の皆さまの力強い後押しが決定を左右した」、世耕弘成党参院幹事長は「丁寧な(選考)プロセスがとれた。これも二階会長のご指導のたまもの」と協調姿勢を強調した。
県連は、1月7日の役員会で鶴保氏の擁立論に反対意見が出たことから、候補者選考委員会の設置を決定。29日の選考委では鶴保氏と門氏の名前が挙がったが結論は出ず、和歌山市選出の県議と市議による会議を経て、鶴保氏を除く県連の国会議員、二階氏、世耕氏、石田真敏元総務相の3人に対応を一任。3回の話し合いの上、2月18日の選考委に諮り、決定に至った。
選考委終了後の会見で門氏は「落選中の身であったが、もう一度チャンスを、挑戦をということで決定をいただいた。身に余る皆さまのお力添えに応えられるよう、しっかりと活動し、選挙に勝ち抜いてまいりたい」と決意を述べた。
門氏は過去4回、1区に立候補し、知事に転出した岸本周平氏にいずれも敗北。最初の3回は重複立候補した比例区で復活当選し、3期10年務めたが、2021年10月の4回目は比例復活もならず、再起を目指して活動を続けていた。
門氏にとって岸本氏は長く敵だったが、昨年11月の知事選では、門氏の後援会主催の個人演説会に岸本氏が出席し、支援を訴えるなど、関係修復の動きがみられてきた。
門氏と並んで会見した二階氏も、「知事も、自民党県連の決定に協力することにやぶさかではないという強い返事をいただいている」と、補選での岸本氏の支援を取り付けていることを明かした。
県連関係者によると、党が行った情勢調査で門氏よりも鶴保氏が有利とするデータが出ており、「勝てる候補」を求める党本部の意向も受け、県連の候補者選定は当初、鶴保氏が軸となっていた。しかし、市議を中心に門氏を推す声が根強くあった他、1月下旬になって、鶴保氏が昨年の参院選期間中、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の施設での会合に出席していたことが明らかになるなど、情勢は変化した。
鶴保氏の擁立には二階氏に近い県議らが動いていたとみられ、世耕氏は門氏との2連ポスターを掲示するなど、門氏を後押しする動きを見せ、候補者選定は県連内の勢力争いの様相も呈していた。
世耕氏は当初から選考過程の透明化を主張しており、国会議員3人での協議について、「本当に胸襟を開いて、お互い先入観のある立場をとらずに、データをテーブルの上に置きながら、真剣に議論をした」と述べた。
二階氏は「門さんにとっては後のない、命懸けの選挙だろうと思っている。われわれは負ける候補にしょっちゅう付き合っておるわけにいかない」と厳しい言葉で門氏を激励した。
1区補選を巡っては、日本維新の会が候補者の公募を実施し、立憲民主党や共産党も擁立を検討している。