大人が学び合い わかやま熱中小学校開校へ
全国で活躍する経営者や大学教員、芸術家らを講師に学ぶ大人の社会塾「わかやま熱中小学校」が、4月16日に和歌山市内に開校する。民間団体が運営し、全国各地に広がっている取り組みで、26日に開かれたプレスクールには約50人が参加。わかやま熱中小の校長を務める同市出身の建築家、広谷純弘さんは「講師と生徒が学び合う場。講師は多領域でバラエティーに富み、普段なかなか聞けない貴重な授業もあるので、ぜひ参加してもらいたい」と話している。
熱中小学校は、日本IBMで常務を務めた堀田一芙(かずふ)さんが「もういちど7歳の目で世界を…」をテーマに、2015年に山形県高畠町の廃校となった小学校で始めた取り組み。「楽しいこと」「多様性のある人がいること」などを流儀に、さまざまな世代が小学生の「7歳の心」で学び、交流を深めながら地域活性化に生かそうというもの。
現在は米国シアトルと日本各地に計22校が開校。約350人のボランティア講師がおり、地域に根差した新たな学びとその実践の場として、18歳から88歳までの約1000人が学んでいるという。
県内では上富田町、かつらぎ町での開校に続いて3校目。和歌山市では、和歌山城を中心にした観光誘客などに取り組む一般社団法人和歌山新城下町DMC(西平都紀子理事長)が運営を担う。
同市中之島の宝塚医療大学和歌山保健医療学部で開かれたプレスクールで、西平理事長は「地域を盛り上げていく中で、われわれ大人がもっといろんなことを知り、次の世代へつなげていければ。私も生徒第1号として皆さんと一緒に多くのことを学び得たい」とあいさつ。
熱中小学校を立ち上げた堀田さんは「いろんな人に出会えるのが大きな魅力で、学校は熱量で成り立っている。相手がいて、自分がいて、その間に何かが生まれる場所。皆さんが1期生として入学してくれることを願っています」と話した。
授業では、京都芸術大学教授の早川克美さんが「デザインへのまなざし~豊かに生きるための思考術~」をテーマに講演。フュージョンミュージアム(同市本町、フォルテワジマ内)の展示と空間デザインを手掛けた早川さんは、これまでの仕事内容を紹介しながら、46歳の頃に大学院で学び直したことや、デザインへの思いを語った。
デザインは誰にとっても身近なものであり「日常的にそれを意識するだけで、暮らしはもっと豊かに、創造的になる」とメッセージ。同施設を設計した広谷さんとの対談もあった。
第1期生を募集中 21日プレスクール
開校後は月1回、地元ゆかりや全国からの講師を招いて開く。対面授業の他、オンラインでも実施。座学だけでなく、課外活動なども検討しているという。
年齢制限はないが、おおむね高校生以上を対象に、1期生を募集中。授業料は半年間で一般1万5000円。学生1万2000円。
3月21日にも、午後1時から同大学でプレスクールを開く。瀬戸内寂聴さんの私塾「寂聴塾」の卒業生で、富山ガラス工房の館長、野田雄一さんが授業をする。無料。事前申し込みが必要。
入校の申し込み締め切りは3月31日。問い合わせはメールで事務局(wakayama.necchu@gmail.com)。プレスクールの参加申し込みも同じ。