子の成長や平穏願い 4年ぶり粉河で流し雛
和歌山県紀の川市に春を呼ぶ伝統行事「紀の川流し雛」が3日、4年ぶりに市役所粉河分庁舎前の中津川で行われた。参加した粉河管内の園児や児童約150人は色とりどりの紙雛を流し、子どもたちの健やかな成長と、市民の安全、安心を願った。
市文化協会粉河支部主催。粉河文化史友会が1982年に復活させてからことしで39回目。子どもたちが伝統行事に参加することにより郷土愛を育て、多くの市民がわがまちを「心のふるさと」と思える環境づくりを提供しようと、一足早い春を呼ぶ行事として定着している。
この日は粉河寺本堂前で祈願祭を行った後、粉河本町筋を南下。紀の里農協粉河支所前の中津川までの約1㌔をお姫様役の辻本菜月さん(20)を先頭に約250人が歩き、紙で作られた人形や小舟を運んだ。河原には写真クラブのカメラマンら多くの人が並び、人形が次々と流される光景をカメラに収めていた。
市の担当者は「地域の人がたくさん集まった光景を見るのは久しぶりなので感動しています」と笑顔。同協会の植野隆支部長(67)は「40年近く続いている行事なので、それが続けられたことがうれしい。世界を含め、戦争や自然災害から立ち上がれるような行事になれば」と話していた。