功労に感謝状 行政相談委員退任の雜賀さん
行政相談委員として14年にわたり和歌山市を担当し、3月末で定年により退任した雜賀功さん(81)=内原=に総務大臣感謝状が贈られた。贈呈式は26日、市役所市長室で行われ、尾花正啓市長から感謝状を受け取った雜賀さんは「皆さんに力いっぱい後ろから押していただいて、14年間無事に務めることができた。感謝しかありません」と語った。
行政相談は、行政全般に対する苦情や意見・要望を受け付け、担当の機関とは異なる立場から必要なあっせんを行い、解決や実現の促進を図る制度。行政相談委員は民間の有識者から総務大臣が委嘱し、全国で約5000人、県内は61人が活動している。
雜賀さんは地元の自治会長やボランティア団体の会長などを務め、09年4月からことし3月まで行政相談委員として活動。商業施設などに毎月設置する行政相談所や、地元自治会、団体などを対象にした行政相談懇談会などで、住民のさまざまな困り事を聞き、関係機関に改善の申し入れをしてきた。さらに、地元小学校で行政相談についての出前教室を行い、行政の仕事に対する子どもたちの関心を高め、地元のイベントでは行政相談制度の広報物品を配布するなど、制度の普及と利用拡大にも大きく貢献してきた。
雜賀さんの対応によって改善された事例では、浜宮小学校の通学路沿いに農業用水路があり、人が落ちそうになって危険なので安全にしてほしいという相談を受け、市役所に連絡し、市の協力でガードレールの設置を実現している。
贈呈式には、同市担当の現役の行政相談委員5人、総務省和歌山行政監視行政相談センターの高月勇所長らが同席。尾花市長が総務大臣からの感謝状を雜賀さんに手渡し、仲間の行政相談委員は記念品を贈った。
尾花市長は「行政課題の解決に迅速に努めていただき、行政相談制度の重要性が市民に周知されてきた。市政にとっても大切な活動であり、長年の尽力に感謝している」と雜賀さんをたたえた。
雜賀さんは、最近の活動で最も思い出に残っているという浜宮小学校児童とのエピソードを披露。昨年2月の出前授業の際、6年生がアンケートに、校区内の溝に低学年の子どもらが入って遊ぶのが危ないので、ふたを取り付けてほしいとの内容があり、雜賀さんはすぐに市に相談し、ふたが設置された。2カ月ほどして、散歩中の雜賀さんに中学生になった子どもたちが話しかけ、ふたの設置を喜んでくれていたという。
雜賀さんは「子どもたちが行政相談員の活動を分かってくれているのがうれしかった。やって良かったと、喜びが倍増した」と顔をほころばせた。