出会いや幸せ招く 宇賀部神社に「なで石」

頭の神様として知られる和歌山県海南市小野田の宇賀部神社(小野田典生宮司)に27日、出会いと絆を深めるとされる「しあわせのなで石」が設置され、除幕式が行われた。

設置されたなで石は二つで、高さ50㌢、直径約30㌢のものと、同30㌢、同20㌢のもの。鳥取県琴浦町の鳴り石の浜(花見海岸)の「凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)」。

打ち寄せる波により石がぶつかり合い「カラコロ」と音をたてることから、“鳴り石”と呼ばれ、「運気が良くなる」、「体調が良くなる」など、願いがかなうといわれている。

参拝者から、「境内になで石を置いてほしい」と要望があり、自然の丸い形をした石を探し、5年かかりようやく見つけ、寄付により設置が決まった。

同神社は、「最後の日本兵」として知られる元陸軍少尉、小野田寛郎さん(1922~2014)の本家であり、宮司の祖父と、寛郎さんの父が兄弟にあたる。

二つ並ぶなで石は珍しく、寄り添うように並べられ、寛郎さんが残した言葉「魚は水、人は人の中」を土台に刻んだ。

式には、寄付した氏子崇敬者有志10人が参列。宮司は、土台の言葉を選んだ理由について「寛郎さんがルバング島で親友を失ったことが一番の悲しみだった。人間は一人では生きられないのだと話していた」といい、「魚は水の中にしか、人は人の中にしか生きられない。互いに寄り添い助け合って生きていきましょう」と話した。

石をなでる小野田宮司

石をなでる小野田宮司