100年目の神輿渡御 5年ぶり加太でえび祭り
大漁や無病息災を願う、和歌山市の加太春日神社(井関摩美子宮司)の例大祭・渡御祭「えび祭り」が20日、5年ぶりに加太地区で行われる。ことしは神輿(みこし)渡御開始から100年の節目で、大神輿や獅子舞などが地区内を練り歩く。井関宮司(66)は「加太地区の人が世代を超えて一丸となり、伝統文化を未来に継承していければ」と話している。
古くは加太では、伊勢エビが多く水揚げされ、各家庭や同神社の例大祭に供えられていたことから、えび祭りと名付けられた。
新型コロナの影響などもあり、同神社と同祭が日本遺産に認定された2020年以降では初の開催。また1993年以降、例大祭は毎年5月20日、渡御祭のえび祭りは5月の第3土曜日に行われており、ことしは同日の開催となる。
1597年に神社に獅子舞が奉納されたことが祭りの始まりとされる。明治初年ごろからは獅子舞の他、屋台に大漁のぼりを立ててまちじゅうを練り歩いた。その後、電線が張られるようになり途絶えたが、1923年に初代宮司により、現行の神輿渡御が斎行された。
ことしは子供屋台やギャルみこし、鬼舞などは巡幸せず、従来の規模を縮小して実施する。加太地区の住人らを中心に約300人が参加。午前9時20分から出御祭祭典、加太小学校6年生の児童2人による巫女舞、神輿出しがあり、同校6年生児童の宝太鼓を先頭に、天狗・金棒、向丁の獅子舞、薙刀振り、大神輿などが午後3時ごろまで練り歩く。
加太小・中学校や加太北の浜公園、戎丁荷上場に無料駐車場も用意される。
藤井保夫実行委員長(76)によると、約1㌧の神輿を前後交互に担ぎ上げるのが見どころだといい「100年の節目の年なので、ぜひ渡御祭を成功させたい。無料駐車場もあるので、加太以外、遠方の人もぜひ見に来てほしい」と呼びかけている。
井関宮司は、祭りは地域活性化や世代間の交流にもなっているとし「ことしは縮小して実施しますが、5年ぶりの開催。神に現在の加太のまちを見せるために、神輿に神を乗せて歩きます。皆さんに神を身近に感じてもらえれば」と話している。
問い合わせは同神社(℡073・459・0368)。