和歌山市の60歳男性重体 台風7号被害

台風7号は15日午前5時前に串本町の潮岬付近に上陸し、和歌山県全域を暴風域に巻き込みながら近畿地方を縦断して午後8時ごろに日本海に抜けた。県内は14日から激しい風雨となり、和歌山市で60歳の男性が意識不明の重体となるなど5人が負傷し、公共交通機関の多くが運転を取りやめ、道路の通行止めが発生するなどの被害が出た。県への台風上陸は、2018年の24号以来、5年ぶり。

県や市によると、県内の人的被害のうち3人は和歌山市内で発生。15日午前6時前、北出島で60歳男性が頭部を負傷した状態で発見された。集合住宅の外壁の板がはがれて当たったとみられ、男性は意識不明の重体で病院に搬送された。

同日午前6時5分ごろには、秋月で自転車に乗っていた59歳女性が転倒し、頭を負傷。同8時55分ごろには、野崎で86歳女性が風にあおられて転倒し、頭や胸を打った。

那智勝浦町市野々では14日午後10時45分ごろ、60歳男性が倒木の撤去作業中に転倒し、左足を骨折。串本町上田原では15日午前9時ごろ、75歳女性が風にあおられて転倒し、左手足を骨折した。

県内の1時間の最大雨量は、北山(北山村)と滝本(新宮市)で64㍉、玉置口(同)で55㍉。16日午前9時までの累積雨量は、北山で516㍉、七色(北山村)で488㍉、玉置口で427㍉に達した。最大瞬間風速は、潮岬で14日午後11時21分、33・5㍍を記録した。

公共交通機関は15日、JRが阪和線(天王寺―和歌山)、きのくに線(新宮―和歌山)、紀勢本線(和歌山―和歌山市)、和歌山線(五条―和歌山)、南海電鉄が南海本線(難波―和歌山市)、加太線(紀ノ川―加太)、和歌山港線(和歌山市―和歌山港)、高野線(橋本―高野山)でいずれも終日運転を取りやめた。和歌山電鐵も全列車74本を運休し、約3000人に影響が出た。南紀白浜空港、南海フェリーは全便を欠航した。

16日は、JR線の一部を除き、各交通機関とも始発から通常運転・運航を再開した。

15日午前10時現在の県のまとめでは、住家被害は確認されておらず、非住家の被害は4件。有田市で太陽光パネルが飛散し、串本町で空き店舗のひさしの落下が1件、屋根の一部落下が2件あった。

道路の状況は、有田川町粟生の県道下湯川金屋線、田辺市本宮町大居の市道松本林田線の2カ所で通行止め、北山村大沼の国道169号で片側通行規制が続いている。

各地で停電も発生し、15日午前8時時点では県全域で約1万4490軒に達し、内訳は和歌山市で約3470軒、串本町で約3400軒などだった。16日午前9時時点でも同町の約1790軒など、県南部の6市町村で計約2370軒が停電している。

台風が去った16日、和歌山市内では沿道の落ち葉をはき集めたり、周辺の被害を確認したりする人の姿が見られた。市内の70代の女性は自宅敷地内にあるガレージのシャッターの一部が強風で外れ、なびいた状態になったといい「15日の朝6時から、飛んでいかないよう応急処置をして大変だった。風が収まるまで心が落ち着かず、一日じゅう不安でした」と話していた。