県とベトナム2省が覚書 知事が訪問、関係強化

岸本周平和歌山県知事は7月26~30日にベトナムを訪問し、同国文化・スポーツ・観光省と交流促進の覚書、労働・傷病兵・社会問題省と県への人材の送り出し・受け入れに関する覚書を新たに締結し、県との関係強化が具体的に進んだのをはじめ、経済、文化、青少年など多様な交流の推進に向け、政府関係者らと精力的に意見交換を行った。

ことしは日本とベトナムの外交関係樹立50周年の節目に当たり、岸本知事は同国と南紀白浜空港を結ぶ初のチャーター便で渡航した。

初日の26日は観光都市・ダナン市を訪問。37年前に進出した県内企業「すさみ物産」を視察し、人材確保の状況などを聞いた。ダナン人民委員会では、レ・チュン・チン委員長を表敬訪問し、観光、人材育成などの分野で県と同市の友好関係を推進することで合意。その後、外務省が推進する日中植林・植樹国際連帯事業でベトナムを訪問していた県内高校生を、濱口太史県議会議長と共に激励した。

27日は首都ハノイで政府関係者と相次いで面会。文化・スポーツ・観光省では、ドアン・バン・ベト副大臣と「文化及び観光に関する覚書」の締結式に臨んだ。覚書は、文化・青少年交流の促進、観光プロモーション活動の相互支援を中心とする内容となっている。

商工省ではグエン・シン・ニャット・タン副大臣と意見交換。県と同省は2018年に貿易と産業振興に関する覚書を締結し、今後も協力関係を強化していくことを確認した。

外務省ではグエン・ミン・ヴー副大臣と面会し、同席したランソン省、ソンラ省、バクニン省の地方政府代表とも、協力関係構築に向けて意見を交わした。

28日には、労働・傷病兵・社会問題省との覚書を締結。同省からトーン・ハイ・ナム海外労働管理局長が出席し、濱口県議会議長が立ち会った。覚書に基づき、県はベトナム人労働者の安全で安心な生活、就労環境を整え、日本語教育のサポートをすることで合意。ベトナム人労働者の人権を守り、完全に対等な仲間として受け入れていくことなどについて意見交換した。

この日は、和歌山信愛大学と覚書を結んでいるフーイエン大学とのオンライン日本語教室の開講式もあり、同省の各大学関係者や学生らが出席。和歌山信愛大の辻伸幸教授による、日本語でのあいさつについての授業が行われた。

さらに同省人民委員会を訪れた岸本知事は、ファム・ダイ・ズォン書記長らと面会し、県省間の協力関係構築に向けて交流を進めることなどで合意した。

29日には同省のビジネスミーティングに参加し、観光業、農業、水産業などの民間企業と意見交換した。参加者からは、県内企業の投資や技術移転などに期待が寄せられた。

ベトナム文化・スポーツ・観光省との覚書に調印する岸本知事(前列中央左)(県提供)

ベトナム文化・スポーツ・観光省との覚書に調印する岸本知事(前列中央左)(県提供)